認知症といえば高齢者の病気と思われがちだが、若い世代でも発症する。65才未満で発症するものは「若年性認知症」と呼ばれ、高齢者の認知症と比べても、介護面や経済面など、若年性ならではの難題も少なくない。そうした若年性認知症の患者をサポートすべく活動している人たちもいる。
認知症専門医・東京慈恵会医科大学教授の繁田雅弘さんは、母親が施設に入り空き家となった神奈川県平塚市の生家を活用し、認知症の啓発活動拠点にすべく再生。5月11日、“若年性認知症カフェ”を開催した。
築50年、趣ある日本家屋の大広間に、地元平塚市や近隣の若年性認知症の人、そうでない人、近隣住民、医師や介護職など67人もの人が集まった。特にプログラムも司会もなく、思い思いにおしゃべりし、そのうち“認知症カフェ”という枠は取っ払われていた。認知症になっても慣れ親しんだ地域で、地域とかかわって過ごすというのは、こういうことか!と思わされる様相だ。
「SHIGETAハウス」プロジェクトを行う栄樹庵の理事でもある湘南いなほクリニック院長の内門大丈さんは、「認知症になっても、仲間のいる場所にずっといられることが理想」と言う。
今はまだ認知症は「特異なもの」であり「介護の対象」。認知症になるとどちらからともなく距離ができてしまう。
「すべての人がもう少し認知症を理解して垣根を外せば、人生の途中で認知症になっても、それまでと変わらず暮らせる。いいでしょ?」
そんな認知症についての情報発信拠点となるのが「SHIGETAハウス」だ。勉強会や図書室、湘南野菜を使ったレストランなども開催される。次回の若年性認知症カフェは7月9日(火)の予定だ。