2月から日本銀行が導入したマイナス金利は銀行の収益を圧迫するだけで効果がないといった批判が強まっているが、平野憲一氏(ケイ・アセット代表)はこう分析している。
「日銀が物価上昇達成時期を延期したことから年内にその成果が出てくるのは難しい。だからといって政府・日銀にギブアップはない。カネ余り現象がより顕著となり、株式や不動産に流入するのは必至」
日銀頼みでは限界もあるため、7月の参院選を前に大型補正予算と消費増税延期という政府の「景気刺激セット」を予測する声も多い。
「5月下旬の伊勢志摩サミット前後で大規模な補正予算と消費増税延期が発表されれば、日本経済の回復期待が高まる。また米利上げも年内に最低1回は予想されるため、ドル高円安も追い風となる」(第一生命経済研究所首席エコノミストの永濱利廣氏)
「そこに日銀の追加緩和が加わり3点セットになれば、110円台への円安に戻ることは十分考えられ、日経平均にはプラスに働く」(みんかぶマガジン社・日本株情報配信部・編集長の冨田康夫氏)
さらに、株式評論家の植木靖男氏は「自社株買い」の増加もプラス材料と見る。企業が自社株買いをすると、市場に流通する株数が減り、1株当たり利益も増えて株の魅力が増すことで株価の上昇につながるからだ。
「上場企業が貯め込んでいる200兆円規模の余剰資金がなかなか設備投資に向かわない現状では、米国と同様に自社株買いに行かざるを得ない。これが株価を押し上げる大きな要因となります」(植木氏)
※週刊ポスト2016年5月20日号