本誌は21人の経済専門家に今後の日本経済の行方を緊急取材した。年末までに日経平均2万円回復など楽観的な見方が出た一方で、「今年後半の景気は良くならない」と指摘するのは、SBI証券投資調査部シニアマーケットアナリストの藤本誠之氏だ。
「参院選までは景気浮揚対策が出揃うが、選挙後はそれも期待できない。年末に向けてポジティブな材料が出てくる可能性も低く、日経平均も年内は1万7000円程度、良くて1万8000円と見ています」
「マーケットプレス」(ラジオNIKKEI)などに出演する経済ジャーナリストの和島英樹氏も、「参院選を過ぎると、例年のパターンで夏枯れ相場となり、そのまま秋口にはヘッジファンドの決算対策売りなども相俟って株価が上がらない展開が続くことが予想されます」と厳しい見方だ。
IPOジャパン編集長の西堀敬氏は「今後の世界的な景気悪化」に警戒する。
「政府・日銀が必死の景気浮揚策や株高対策を打つことで、日経平均は参院選前後に1万7000円を窺う展開になったとしても、それが今年後半の高値になる公算が大きい。
その後はリーマン・ショックから10年近く経ったことで景気循環の波が後退入りする可能性もあり、米国の雇用統計が頭打ちになるなど世界的な景気悪化も考えられます。日経平均も秋口に1万4000円割れまであり得る」
そして今回、登場した専門家の中で最安値となる「1万円」を予想したのは黒岩泰氏(黒岩アセットマネジメント代表)である。
「そもそもアベノミクスの株高は金融緩和がもたらした単なるバブルです。バブル崩壊には2つのシナリオが想定されます。1つは債券バブル崩壊。日銀が国債を買いまくる危うい状況で債券バブルが膨らみ、それが崩壊して金利が急騰し、株価は急落する。
もう1つは円高加速による株安です。日本は経常黒字国で、本来ならまだまだ円が買われてもおかしくない。私が分析した理論値では1ドル=93円前後となり、ここから10円以上の円高水準です。アベノミクス相場のスタートが8500円だったことを考えると、年末に向けて若干上値を見ても1万円というのが私の見方です」
21人の識者が予想した年末日経平均株価の“平均”は1万7238円と、現状とほぼ変わらない数字になった。7か月後の12月30日午後3時に、日経平均はいくらの終値をつけるのか。
※週刊ポスト2016年5月20日号