熊本地震による地震保険の事故受付件数が約7万件(4月21日時点。補償内容などの相談や問い合わせを含む)に達し、損害保険会社が支払う補償額は1995年の阪神・淡路大震災(同件数6万5427件・支払額783億円)を超える見通しだ。
2011年の東日本大震災(約1兆3000億円)に次ぐ過去2番目の支払額となる背景には、地震保険の急速な普及がある。1994年末時点で9%だった世帯加入率の全国平均は、相次ぐ大震災の影響もあり、2014年には28.8%と3倍超に増加している。
地震保険は、地震や津波などで被った住宅や家財の損壊や流失による損害を補償するものだが、必ず火災保険とセットで加入する必要がある。オールアバウト損害保険ガイドで平野FP事務所代表の平野敦之氏が解説する。
「対象は住宅(事務所や店舗など事業用物件は対象外)の建物と家財のみで、保険金額の上限は火災保険の30~50%。最大でも建物で5000万円、家財で1000万円です。
例えば、2000万円の火災保険に加入していた場合、地震保険で加入できるのは600万~1000万円となり、保険金だけで家を再建することはできません。地震保険は被災による損害を全てカバーするものではなく、“生活再建の足掛かり”とする制度です」
※週刊ポスト2016年5月20日号