原油相場の上昇を好感するとともに、米政権によるメキシコへの関税引き上げ延期の検討が報じられた6日のNYダウが4日続伸となると、7日の東京市場も買いが先行して始まり、日経平均は反発した。ただ、端午節で上海市場が休場だったほか、大引け後に結果が判明する米5月雇用統計の発表を控えて積極的な上値追いはみられず、買い戻し一巡後はこの日の高値圏でもみ合う展開となった。売買代金上位では、米半導体SOX指数の上昇からアドバンテスト<6857>と東京エレクトロン<8035>の上昇が目立った。
今週の日経平均は手控えムードが強まりもみ合いが予想される。中米からの不法移民の流入問題を巡っての、米国による対メキシコ関税については延期説が流れるなど情報が錯綜するなか、10日発動が予定されている。たとえ発動されても、メキシコ側の対策次第で短期に終わる可能性もある一方、米中の貿易摩擦は予想外の激化と広がりを見せていることが懸念される。
これに伴いFRBが利下げに踏み切る可能性がでてきたことを受け、今週10日の中国5月貿易収支や12日の米5月消費者物価など米中の経済指標の発表に一喜一憂する場面が出てきそうだ。
国内需給面では14日のメジャーSQを控えて先物の動向もかく乱要因となりそうだ。一方、FRBが利下げに踏み切る可能性がでてきたことを受け、日銀の金融政策に関しても「追随緩和」の可能性が指摘され始めている。ETF買い入れの増額などの案が具体化してくると、日経平均は5月29日以来となる21000円台を回復する場面も期待される。
こうした、金融政策を占う大きなスケジュールが日米で翌週に控えていることがポイントだ。6月19日、20日に日銀の金融政策決定会合、6月18日、19日にFOMC(連邦公開市場委員会)が予定されて日本時間20日午前3時に声明が発表される。この日米の金融政策イベントとメジャーSQを控えて来週は、動きにくい時期となる可能性が高い。さらに、その先では、26日に通常国会会期末、28日には「G20」(20カ国・地域首脳会議)が29日まで開催され、日米、日ロ、日中の各首脳会談が個別に予定という政治イベントが控えている。
物色的には、5G関連、無電柱化関連の一角に動きはあるものの広がりは見られない。そのため材料が浮上した個別物色が続きそうだ。このほか、13日にトヨタ<7203>の株主総会が開催される。ソニー<6758>は18日、ソフトバンクグループ<9984>は19日で、24日からの6月最終週が株主総会の開催ピークとなる。一般的に株主総会を控えるこの時期は、企業サイドからはネガティブ材料が出にくい習性がある。
今週の主な国内経済関連スケジュールは、10日に1-3月期GDP改定値、4月経常収支、5月景気ウォッチャー調査、11日に5月マネーストック、5月工作機械受注、12日に5月国内企業物価指数、4月機械受注、13日に4-6月期法人企業景気予測調査、5月都心オフィス空室率、14日にメジャーSQ算出日がそれぞれ予定されている。
一方、米国など海外経済関連スケジュールは、10日に中国5月貿易収支、11日に米5月生産者物価、12日に米5月消費者物価、米5月財政収支、中国5月消費者物価、中国5月生産者物価、13日に米5月輸出入物価、14日に米5月小売売上高、米5月鉱工業生産・設備稼働率、米6月ミシガン大学消費者マインド指数、米4月企業在庫、中国5月都市部固定資産投資、中国5月鉱工業生産、中国5月小売売上高がそれぞれ発表される予定だ。