日本経済全体の浮沈にかかわらず、確かな技術やサービスで好業績と株価高騰が見込める銘柄は存在する。マネーのプロたちが、今年年末時点で今よりも値上がりしている可能性が高いと見る「持っていれば得する銘柄」を挙げてくれた。
「今後の注目テーマは高齢化や技術革新に伴う医療・バイオ関連、スマホ普及に伴うIT関連、マイナス金利に伴う不動産関連です」
こう語る戸松信博氏(グローバルリンクアドバイザーズ代表)は、医療関連でリニカルを推す。
「がん・中枢神経系などを中心にCRO(臨床試験受託)事業を展開。国内の主要製薬会社の臨床試験を受託するほか、海外でも受注が好調で足元の業績も好調を維持している」
IT関連ではテクマトリックスを挙げる。
「情報インフラ構築とアプリ開発が柱。情報システムの構築から運用・保守に至るまでワンストップで提供できるのが強み。アプリもeコマース(電子商取引)やスマホ、ウェアラブル端末向けなどが堅調です」
不動産関連では、ケイアイスター不動産に注目する。
「主に首都圏で分譲住宅、注文住宅を販売し、870万円からの家づくりをコンセプトとした『はなまるハウス』が主力です。大幅な増収増益予想で成長性が高い割に株価は割安。マイナス金利導入による住宅ローン金利低下が追い風です」
同じ不動産関連でマーケットバンク代表の岡山憲史氏は民泊や中短期賃貸などのアパマンショップホールディングスを推した。
経済ジャーナリストの和島英樹氏は医療・バイオ関連が有望テーマとして3銘柄を挙げた。
「ヘリオスはiPS細胞を使って加齢黄斑変性の治療薬を開発するバイオベンチャー。2017年の臨床試験入りを目指している。富士フイルムホールディングスはインスタントカメラや事務機の好調に加え、医薬品や再生医療でも着実な拡大が見込めます。
精神疾患の患者に特化した訪問看護のほか、退院患者向けに賃貸物件の入居支援なども行なうN・フィールドは医療制度改革の一環で政府による精神科患者の早期退院、在宅医療支援の充実が進められており追い風です」
医療・バイオ関連では東証1部上場観測があるバイオベンチャーのそーせいグループを藤本誠之氏(SBI証券投資調査部シニアマーケットアナリスト)と黒岩泰氏(黒岩アセットマネジメント代表)が推すほか、藤根靖晃氏(ティー・アイ・ダヴリュ代表)が医薬品製造機械メーカーのフロイント産業、平野憲一氏(ケイ・アセット代表)が医薬品ベンチャーで新薬開発が相次ぐメディシノバを挙げた。
※週刊ポスト2016年5月20日号