金融庁の「高齢社会における資産形成・管理」の報告書で、年金暮らしの平均的な高齢夫婦の生活費は「毎月5万円の赤字」が続き、65才で定年を迎えた場合、95才時には2000万円が不足する、と指摘され大きな波紋を呼んでいる。
実際、「人生100年時代」に突入するなか、年金だけでは、老後の豊かな生活は難しい。運用でお金を増やす方法も検討すべきだ。埼玉県に住む主婦、清水さん(仮名、37才)が話す。
「銀行に預けても金利はスズメの涙。かといって、株は私にはハードルが高くて手が出せません。悩んでいた時、息子がすすめてくれたのがイデコ(iDeCo)。毎月、お金を預けるだけでお金が増えて、税金まで安くなるなんて驚きました」
そんな虫のいい話があるのだろうか。ファイナンシャルプランナーの山中伸枝さんが話す。
「イデコは、自分で老後資産を用意する『私的年金』です。毎月一定額を『掛け金』として金融機関に積み立てて、投資信託などの商品を運用して“じぶん年金”を作ります。長期運用を前提とするため、一度預けたら60才まで引き出せません。老後資金を自分で準備してもらうため、国が肝いりで始めた制度なので、さまざまな優遇措置があります」