政府が選挙対策として国民に「在職老齢年金制度」廃止という“アメ”をしゃぶらせた以上、次の年金改革では厳しい“ムチ”を振るう公算が高い。年金博士として知られる社会保険労務士の北村庄吾氏が指摘する。
「自民党が選挙後に公約の在老廃止を進めるためには、新たに1兆円以上の年金財源が必要になる。大盤振る舞いする以上、他の手段で支給額をもっと削り、保険料収入を増やさなければならない。次の年金改革はかつてない大改悪になるはずです」
財政検証では毎回、具体的な改革の方向に沿った複数の「オプション試算」が示される。今回は「年金受給開始年齢引き上げ」や「厚生年金の適用拡大」などいくつかのケースで将来の年金財政の見通しが示されると予測されるが、財政検証後の年金改革では、新たなテーマだけではなく、過去に検討され積み残しになっている改革テーマが取り上げられることも多い。「骨太の方針」に盛り込まれた在老廃止も、前回から議論が続いてきたテーマだ。
※週刊ポスト2019年6月28日号