厚生労働省は5年ごとに年金の「財政検証」を行なう。100年先までの保険料収入と給付の見通しを試算、制度を点検し、新たな改革を追加することを目的とする。今年の財政検証では、パートやアルバイトの年金加入義務の強化も検討される。
パート勤務の専業主婦には「106万円の壁」があり、従業員501人以上の企業で週20時間以上勤務、月収8万8000円(年収約106万円)を超えると原則、夫の扶養(第3号被保険者)から外れ、社会保険に加入することになる。その収入条件を「月収6万8000円」に引き下げることが検討されている。これを年収に換算すると「82万円の壁」が出現することになる。
さらなる拡大もある。自民党政務調査会が令和になって最初にまとめた「人生100年時代の社会保障改革ビジョン」(5月21日)では、企業で働く者は雇用形態を問わず社会保険に加入できるようにする「勤労者皆社会保険」の実現を提言し、〈いわゆる「130万円の壁」、「106万円の壁」や業種や企業規模による「壁」を打破すべく取り組む〉と打ち出した。
「130万円の壁」は勤務条件にかかわらず扶養家族の資格を失う収入ラインであり、年金保険料を負担しなくていい第3号被保険者をできるだけ縮小する狙いは明らかだ。
※週刊ポスト2019年6月28日号