中東ホルムズ海峡近くで石油タンカー2隻が攻撃される事態が発生し、原油相場が上昇したことを受けて13日のNYダウは101.94ドル高と3日ぶりに反発した、これを受けた14日の日経平均もプラスに転じた。トランプ政権がタンカー攻撃をイランの責任と断定したことで中東の地政学リスクが意識され朝方はマイナス場面もあった。しかし、波乱なくメジャーSQ(特別清算指数)を通過したことで、こう着感が強いながらも売り込む動きはなく、日経平均は21000円台を維持した。なお、14日のメジャーSQ値は21060.56円だった。
今週の日経平均は21000円台を維持して、上値を慕う展開がありそうだ。日経平均は浮上する悪材料に対して打たれ強さを増しており、メジャーSQを通過して堅調さを保ったことから、過度な不安心理は後退している。
テクニカル的に見ても日経平均は、25日移動平均線を5日移動平均線がゴールデンウィーク明け後に初めて上回り、13日に一時的な下振れはあったものの、週末14日は終値で25日移動平均線を上回っており、相場の視線は上を向いてもおかしくない。
アノマリー的にも3月決算企業の株主総会が集中する6月の最終週は、日経平均の上昇確率が高い週となっていることが意識されてこよう。ただし、不透明要素が多いことも確かだ。6月28日、29日のG20のタイミングで、米中首脳会談の開催有無が相場の分水嶺となってくる。開催されれば貿易摩擦緩和で相場にプラス、見送られればマイナスに働く。
このG20とともに注目されるイベントが18日から19日にかけてのFOMC(米連邦公開市場委員会)だ。6月の米国政策金利は据え置きが現状ではコンセンサスだが、7月の利下げを示唆するシグナルが発せられるがどうかに市場の関心は移っている。利下げ期待が高まれば米国株高の流れを受けて、東京市場も下値を切り上げてくる可能性がある。ホルムズ海峡付近でのタンカー攻撃による中東リスク、一服は見せたものの「逃亡犯条例」の改正案を巡る香港での大規模デモと地政学リスクもくすぶっている。こうしたことから、上値の重さは引き続き意識されてこよう。
一方、物色面では個別株物色が高まってくる期待がある。来週は4銘柄が新規上場するが、このうちマザーズには、上場時の時価総額が1200億円超えと今年最大規模となる法人向け名刺管理サービス企業のSansan<4443>が登場する。IPOの増加は中小型の個別株物色を刺激してくることになる。
また、人気の持続期間は短いものの、テーマ株物色としてレアアース関連に続いて直近では急発進防止装置が動意づいた。政府が急発進防止装置、アクセル踏み間違い防止装置などを搭載した車種に限る高齢者ドライバー専用の新しい運転免許をつくる方針と報道されたことを受けての人気化だった。マンガアプリや医療ICTなどの分野で好業績銘柄が目立っており、テーマ物色の浮上とともに好業績・個別株物色も広がってくる可能性がある。
来週の主な国内経済関連スケジュールは、17日に5月首都圏新規マンション発売、19日に日銀金融政策決定会合(20日まで)、5月貿易統計、5月訪日外客数、20日に黒田日銀総裁会見、4月全産業活動指数、5月コンビニエンスストア売上高、21日に5月消費者物価指数の発表が予定されている。
一方、米国など海外経済関連スケジュールは、17日に米6月NY連銀製造業景気指数、米6月NAHB住宅市場指数、18日にFOMC(19日まで)、米5月住宅着工件数、米5月建設許可件数、19日にパウエルFRB議長会見で経済見通し発表、20日に米1-3月期経常収支、米6月フィラデルフィア連銀製造業景況感指数、米5月CB景気先行総合指数、21日に米5月中古住宅販売件数が予定されている。