熊本地震で改めて注目を集めている地震保険。来年、地震保険は大きな制度改定を控えている。その最たるものが保険料の値上げである。保険料率算定の基礎となる地震リスクが見直されたためだ。
すでに2014年7月に全国平均で15.5%引き上げられたばかりだが、来年1月に全国平均で5.1%、さらにその後の数年間で計19%も上がる。
同時に損害の認定基準も、保険金が全額支払われる「全損」、50%支払われる「半損」、5%支払われる「一部損」の現行3区分から、半損が「大半損(60%支払い)」と「小半損(30%支払い)」に細分化され、4区分に変更される。
細分化されることは、保険料率の引き上げと違い、加入者にメリットがあると思うかもしれないが、ここに落とし穴がある。
そもそも半損とは、地震で屋根瓦が落ち、窓ガラスが全部割れ、壁や柱にも複数のヒビが入ったが、損保会社に「住み続けるには支障がない」と判断されたケースなどを指す。
問題は今回の改定で、これまで半損と認定されたもののうち、小半損に“格下げ”になるものが増えると想定されていることだ。
「大半損は建物の主要構造物(壁や梁、柱)の損害割合が〈40%以上50%未満〉と対象範囲が最も小さく設定されています。改定により支払われる補償総額は減る計算となり、『制度改悪』という批判の声も上がっています」(大手損保関係者)
※週刊ポスト2016年5月20日号