今週の日経平均は底堅さを試す展開が見込まれる。円相場は1ドル=107円台前半と年初の円高水準に達している。中東の地政学リスクの高まりに加え、米長期金利が再び2%割れをうかがう展開となり日米金利差縮小を嫌った円高進行が、週末の株式市場に冷水を浴びせた形だ。為替の円高は日本の企業業績に直接的に影響してくるため、一段の円高進行は引き続き東京市場のネガティブ材料として働いてくることが予想される。
ただし、注目されたFOMCにおいて、金融政策について「景気を維持するため適切に行動する」との文言が盛り込まれたことはプラス材料だ。早期切り下げへの期待感からNYダウは年初来高値の水準に切り返し、昨年10月の26951.81ドルの最高値を意識しはじめている。こうした、NY市場の上昇とG20で米中首脳が会談するスケジュールにあることは、日経平均の下値不安を後退させている。
また、株主総会の集中シーズンは堅調に推移するという過去の経験則もあながち軽視できない。需給的にも、3月期決算企業の配当金支払いのピーク期間に入り、19日から28日にかけては約4.7兆円が支払われる。この配当金の再投資効果も期待される。
このほか、日経平均のテクニカル的には戻り相場を継続し最大の関門となっていた5月9日以来となる75日移動平均線を20日に上抜いたことが注目される。75日線抜けは通常「買い転換」となるが、右肩下がりにあった75日線抜けでテクニカル的な信頼性はやや低い。また、東証1部の売買代金が1兆7927億円とフシ目の2兆円を大きく下回る中での上抜けだったことから相場的な高揚感は感じられない。実際、21日の反落で再び割り込んできたことから、基調はまだ不安定だ。しかし、上昇に転じている5日移動平均線上はキープしており、割り込まない限りは上昇トレンドと見ておくところだ。
物色的には買い戻しに弾みがついている東エレク<8035>などの半導体関連、国際帝石<1605>や大手商社の資源関連の戻り継続が期待される。また、マザーズにIPOしたSansan<4443>の上値追いに刺激を受けて個別銘柄物色も続くことが見込まれる。
来週の主な国内経済関連スケジュールは、25日に4月24・25日開催の日銀金融政策決定会合議事要旨、5月企業向けサービス価格指数、27日に5月商業動態統計、株主総会集中日、28日に5月失業率・有効求人倍率、5月鉱工業生産、6月19・20日開催の日銀金融政策決定会合の「主な意見」、G20大阪サミット(29日まで)が予定されている。
一方、米国など海外経済関連スケジュールは、24日に米5月シカゴ連銀全米活動指数、25日に米4月FHFA住宅価格指数、米4月S&PコアロジックCS住宅価格指数、米5月新築住宅販売件数、米6月CB消費者信頼感指数、26日に米5月耐久財受注、27日に米1-3月期GDP確報値、米5月中古住宅販売仮契約、28日に米5月個人所得・個人支出の発表が予定されている。