競争が激しい居酒屋チェーン。三光マーケティングフーズが運営する『金の蔵』や『東方見聞録』は、客離れを防ごうと「全品270円均一」への転換を試みたがうまく機能せず、「270円均一」の看板を下ろさざるを得なくなった。
その結果、2008年6月末時点に54店舗を展開した『東方見聞録』は、現在3店舗に縮小(6月19日時点、29日に4店舗目をオープン予定)。『金の蔵』もピーク時(2012年6月期)の79店舗から、63店舗になっている(6月19日時点)。
一方、居酒屋業界で近年、店舗数の伸びが目立つのが、焼き鳥を売りにした『三代目鳥メロ』や、唐揚げが主力の『ミライザカ』だ。
2016年7月に1号店がオープンした『鳥メロ』は現在143店舗、『ミライザカ』は2016年6月に開店し現在166店舗へと急増している(2019年5月末時点)。
両者の経営元は、大手居酒屋チェーンのワタミだ。店舗経営コンサルタントの佐藤昌司氏が解説する。
「2014年には、『和民』『坐・和民』を中心にグループ全体で約650店舗を誇ったワタミ系列ですが、現在では約480店舗まで縮小している。
そのうち、かつての主力だった『和民』『坐・和民』の内訳は80店弱で、多くの店舗を新規事業の『鳥メロ』、『ミライザカ』へと転換しています。両者は鶏料理をウリにしており、メニュー数を絞っているため、仕入れコストの削減や、調理に必要となる人件費の抑制につながっている。その結果、各店舗の売上高は前年同期比で平均30%超も増加しています」
顧客のニーズに合わせて“屋号替え”を行ない、不採算店舗の撤退と新規出店を達成しているのだ。
※週刊ポスト2019年7月5日号