投資

拡大するETF市場 東証にも世界中の市場に投資できるETFが多数上場

 ETF(上場投資信託)市場は近年拡大しており、東京証券取引所(以下、東証)や大阪取引所が属する日本取引所グループによれば2015年のETF売買代金は61兆円と、2013年に比べて3倍以上も増加。投資家を惹きつけてきたETFのひとつの魅力は、難しい運用を手軽に実現できる商品設計にあるといえる。

 例えば日本の株式相場が好調なことを耳にし、株式の投資を考えたところで、投資経験が浅い人はどの会社の株を購入すればよいのか頭を抱えてしまうだろう。

 一方、ETFは株式市場の好不調を表す日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)などの指数に連動して基準価額が動く金融商品だ。そのため、ある株式市場が盛況だと分かれば、その市場の株価指数と相関するETF銘柄を1つ売買するだけで、市場単位の投資ができるのだ。もし指数を構成する株式銘柄を1つ1つ買い揃えていくとなると、莫大な資金と手間がかかるが、ETFを使えば10万円程度から市場全体を取引することが可能となる。

 例えば、日本の株式市場への投資を検討しているなら、東証1部に上場する代表的な225銘柄の指数「日経平均株価」に連動するETF銘柄を売買する、好調なアメリカの株式市場に投資をしたいと考えるなら、ニューヨーク証券取引所やNASDAQといったアメリカの大手証券取引所に上場する代表的な500銘柄の指数「S&P500」に連動するETF銘柄を売買する、というイメージ。

 上記のような市場単位の投資を行う場合、インデックスファンドという投資信託を購入する選択肢もある。インデックスファンドの場合、1万円程度から投資可能というメリットはあるが、取引に関わるコストはETFの方が安い傾向があり、これも投資家を惹きつける理由のひとつとなっている。

 またETFは日本に限らず、世界各国さまざまな市場を対象とする銘柄が多数上場している。例えば東証で取引できるETF銘柄の一覧を見ると、イギリスの株式市場やインドの株式市場など先進国から新興国まで揃っており、日本の取引所からでも世界レベルの投資が可能だ。

 では、どのような指数に投資できるのか、東証に上場しているETF銘柄をもとに、一例を紹介しよう。

◆日経平均株価(東証一部上場企業のうち225銘柄を対象とした指数)
◆東証株価指数(TOPIX)(東証一部上場の全株式銘柄からなる指数)
◆NYダウ(米国を代表する30銘柄から構成される指数)
◆S&P500(ニューヨーク証券取引所やNYSE MKT、NASDAQに上場する500銘柄をもとにした指数)
◆FTSE100種総合株価指数(ロンドン証券取引所に上場する時価総額上位100銘柄で構成される指数)
◆MSCIヨーロッパ指数(欧州15カ国の主要企業の銘柄からなる指数)
◆RTS指数(モスクワ証券取引所に上場する銘柄のうち、流動性の高い50銘柄からなる指数)
◆香港ハンセン株価指数(香港証券取引所の流動性の高い上位銘柄をもとにした指数)
◆Nifty 50(インド・ナショナル証券取引所に上場する主要50銘柄からなる指数)

 その他に金市場やWTI原油先物市場、米国債券市場、REIT(不動産投資信託)市場の値動きと連動するETFや、セクター別(たとえば食品、工業、銀行など)のETFなど、投資対象は多岐にわたる。

 ETFは2005年の世界純資産残高が約4000億米ドルだったが、2020年には世界で純資産総額5兆米ドルを超えるとの見通しもある。引き続き投資家からの注目を集めそうだ。

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