「3つのメリット」全部取る
iDeCoへの注目が高まっているのは、手厚い優遇策があるからだ。ファイナンシャルプランナーで社会保険労務士の蒲島竜也氏が解説する。
「まず毎月、金融機関に支払う掛け金は、所得税や住民税の課税所得から全額控除されます。積み立てるだけで大幅に税金を減らすことができるのです。
しかも積み立てたお金を運用して生じた利益について、通常なら所得税や住民税など約20%が課税されますが、iDeCoの積立金の運用益は、税金がゼロで済む。積立金を受け取る際にも、一時金として受け取る場合は退職所得控除、年金として分割で受け取る場合は公的年金等控除の対象となる。他の制度にはないこれら“3つの節税メリット”の効果は非常に大きい」
仮に積立金の投資先に定期預金を選んだとしても、節税メリットは享受できる。この場合、“リスクゼロの投資”で得できるのである。
ただし、毎月の掛け金には、属性ごとに上限がある。国民年金しかない自営業者は国民年金基金と合算して月6万8000円(年81万6000円)まで積み立てられるが、厚生年金があるサラリーマンの上限は月2万3000円(年27万6000円)。企業型確定拠出年金や厚生年金基金など“3階部分”のあるサラリーマンの上限は月1万2000円と定められている。
少額でも長期間投資すれば、積立金を大きく育てることも可能だ。それゆえ、“若い世代にメリットが大きい”と喧伝されるが、蒲島氏は「50歳からの活用でも十分に恩恵を受けることができる」と語る。
図は、年収が500万円の50歳のサラリーマンが、60歳まで10年間、iDeCoで積み立てたケースでどれだけ得するかを整理したものだ(掛け金は上限の月額2万3000円)。