定年後の生活を見直していく上で、最も効果が大きいと考えられるのが住まいの見直しだ。ライフスタイルの変化に応じて、人生最大の資産を見直し、生活の基盤となる住まいを最適化する必要がある。
地方の持ち家に住んでいる場合は、「都市部への移住」という選択が検討に値する。くじらやFPオフィス代表でファイナンシャルプランナーの日野秀規氏が指摘する。
「地方の郊外となると、車が必需品で交通費などのコストがなかなか圧縮できない。そこで、都市部のマンションなどに住まいを移せば、公共交通が発達しているので交通費がかさまなくなる。生活費も、都市部のほうが安いスーパーがあるし、図書館などの公共サービスも充実しているので歳をとっても暮らしやすい」
この場合は「貸して引っ越す」が理想だ。榊マンション市場研究所主宰の榊淳司氏はこう指摘する。
「ただし郊外の一戸建ては売れにくい。改築して各部屋にカギをかけてシェアハウスとして賃貸に出したり、近隣の企業に『改築するから、社宅として使わないか』と売り込むくらいの心がけが必要です。かかる費用と見込める収入を天秤にかけて考える必要があります」
老後資金の「2000万円不足」問題が話題となっているが、“人生最大の資産”をうまく活用できれば「年金だけで暮らす」が一気に現実味を帯びてくる。
※週刊ポスト2019年7月19・26日号