投資

「老後2000万円不足」騒動で露呈した日本人の金融リテラシーの低さ

金融審議会の報告書が日本にとってのターニングポイントに

金融審議会の報告書が日本にとってのターニングポイントに

 私が運用責任者を務める「ひふみ投信」シリーズは運用開始から10年以上が過ぎ、全体で1兆円近い資産運用残高にまで増えてきた。ところが、「2000万円不足」問題で露呈されたのは、国民の金融リテラシーの低さであり、下手をすれば日本の個人金融資産約1830兆円がまったく付加価値を生まないまま放置されてしまいかねないことである。このままでいけば、私たちのやっていることも「焼け石に水」に過ぎないのではないか、とさえ考えている。

 資産運用業界に長く身を置き、投資信託協会の理事も務める者として、いまほど金融教育をきちんとやらなければいけないと思い知らされたことはない。

 そのために具体的な方法は、まさにいま考えているところだが、根深い価値観を変えていくことは一朝一夕で達成できるとは思っていない。一気に解決につながるような“魔法の杖”がない以上、全国を回ってあらゆる機会を通じて金融や投資に関して伝えたり、小学校や中学校などの教育現場にも広げたり、とにかく地道にコミュニケーションを続けていくしかないだろう。

「老後2000万円不足」問題は、金融業界のみならず日本全体にとってターニングポイントとなったことは間違いない。そうである以上、私たち資産運用業界に携わる者たちが責任を持って取り組んでいくべき非常に大きな課題である。投資の意義や必要性を伝えていくのはもちろん、資産形成する機会をより幅広く、より大きな規模で提供していきたいという決意を新たに示したい。

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