医療やテクノロジーの進化で、カラダの年齢と暦の年齢の認識に乖離が起き始めているとスコットさんは指摘し、「1950年における65歳の死亡リスクは、現代における79歳の死亡リスクと同じ」という研究データもあると言う。つまり、一義的に65歳以降は引退世代などと決めることはできなくなっているということだ。また、長寿化は単純に生きる時間が増えることでもあり、教育やキャリア形成が若い時代に限らず、70~80代で行われても不思議ではなくなる。
マルチステージの人生設計が広まれば、資産形成においても多様化を求められるだろう。一概に「定年後には○○万円必要」という話では片づけられなくなるからだ。
「年齢別に資産形成をアドバイスする時代は終わり、その人のライフステージに応じて、柔軟な資産管理が求められるようになるでしょう。イギリスでは個別に良い金融アドバイスを受けられるのは特定の層だけなので、一般の人々でも安価で多様な助言を聞けるような社会になることが今後の課題になっています」
スコットさんが言うように、まずは「どんな人生を歩んでいきたいか」を考えたうえで、自分に必要な資産形成のかたちをあらためて問い直すことが、必要な時代になってきているようだ。