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認知症の親がいると巨額の賠償リスクと隣り合わせ どう備えるか?

介護にまつわるトラブルは少なくない(イメージ)

介護にまつわるトラブルは少なくない(イメージ)

 定年後の暮らしにはトラブルがたくさん潜んでいる。健康や家族関係、犯罪被害など数々のリスクが存在するなか、介護の分野においてもトラブルの芽は少なくない。そんな時、自分を守るための最大の武器になるのが“法律”だ。

 2007年12月、認知症の親が線路に侵入してはねられる事故が起きた。後に、鉄道会社が遺族に対して民法714条の〈責任無能力者の監督義務者等の責任〉を問い、720万円の損害賠償請求を起こしている。一審、二審では原告の請求が認められたが、最高裁で遺族の支払い義務を否定する逆転判決が出た。

 とはいえ、認知症の親がいる場合、家族は常に巨額の賠償リスクと隣り合わせだ。社会保険労務士の井戸美枝氏が説明する。

「水を出しっ放しにして下の階を水浸しにしたとか、介護施設で暴れて他の入居者に怪我をさせたというケースはよく耳にします。そうした事態に備えて、損保各社は個人賠償責任保険という商品を販売しています。補償上限は1事故に1億円から無制限と高いのに対して、火災保険や自動車保険の特約として付帯するため、掛け金は月額数千円とお手頃です」

入居していた老人ホームが倒産! 一時金は返ってくる?

 東京商工リサーチによると、昨年の老人福祉・介護事業者の倒産件数は106件。ここ3年間で毎年100件以上の倒産がある。

 老人ホームの入居一時金は、「毎月の利用料の前払い」として償却期間があるが、償却途中で泣き寝入りするしかないのか。井戸氏が説明する。

「老人福祉法で、有料老人ホームに前払い金の保全義務が課されているため、最大で500万円まで戻ってきます。公益社団法人全国有料老人ホーム協会に申請することで一時金の返還が受けられます」

 ただし注意点がある。

「法の制定前の2006年3月31日以前に届け出された古い老人ホームには契約書に保全措置が明記されていない場合もある。事前によく確認する必要があります」(井戸氏)

※週刊ポスト2019年8月9日号

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