「おいしいものは高い」が社会の道理だ。そんな常識はお構いなし、「大トロ1皿100円」を実現する回転ずしに、今日も長い行列ができている。企業努力の末に編み出された「門外不出の激安の秘密」。あの人気ネタは、なぜそんなに安くてうまいのか──。
回転ずしのネタは、驚くようなスピードで日々、進化を遂げている。たとえば人気メニューの「エンガワ」だ。大手回転ずしチェーンの仕入れ担当者がこう明かす。
「もともと江戸前寿司で『ヒラメのエンガワ』といえば、知る人ぞ知る超高級ネタ。回転ずしとは無縁でした。その一方で、日本で回転ずしが広がるとカレイの白身の消費量が急増。ですが、ひれの部分はゴミとして大量に捨てられていました。
もったいないから商品化しようとなり、ヒラメもカレイも似ているから、『エンガワ』として売り出したんです。主に『カラスガレイ』や『アブラガレイ』が使われ、なかには、最大3mを超えるカレイの一種『オヒョウ』を使う店もあったそうです」
ほぼすべての回転ずし店で提供されるエンガワは“カレイのひれ”だ。ところが最近、興味深い現象が起きているという。
「最近の回転ずしブームで、エンガワ目的もあってカレイが乱獲されるようになり、漁獲量が急減しています。仕入れ値は約3倍に跳ね上がった。その結果、カレイよりも“本家”のヒラメの方が安いという逆転現象が起きつつあります」(前出・仕入れ担当者)
ネタに歴史ありということだ。
※女性セブン2019年8月22・29日号