そんな樹木さんの親友だったのが、『七人の孫』『寺内貫太郎一家』(ともにTBS系)などのホームドラマで人気を博した女優の加藤治子さん(享年92)だ。
加藤さんは最初の夫と死別後に再婚するも離婚し、生涯子供をもうけなかった。母や姉は加藤さんが50代半ばになるまでに逝去し、天涯孤独の「おひとりさま」として世田谷の自宅で暮らしていた。そんな加藤さんの斬新な相続を『週刊現代』が報じ、注目を集めている。
「彼女が相続先に選んだのは、5人の友人でした。加藤さんの個人事務所の代表取締役兼マネジャーのAさんと友人のBさん、遠縁のCさん、それにAさんの親友だったDさんと、2度目の夫の再々婚相手でありながら、友情関係で結ばれたEさんの5人です」
加藤さんを知る関係者はそう語っている。87才で乳がんになって「余命5か月」を宣告された加藤さんは、それ以降、遺産を大切な5人に渡すべく相続の準備を始めたという。
「加藤さんは世田谷の一等地にある自宅を処分して、そのお金を5人で分割するよう定めた遺言書を作成しました。2015年11月に彼女が他界した後、遺言書に沿って自宅が売却されて5人にそのお金が振り分けられました」(前出・加藤さんを知る関係者)
単なる知人や友人が遺贈を受ける場合は、相続税が2割加算となる。だがそんな負担よりも、人生の最期に大切な人々への贈り物を準備する加藤さんの心遣いが、5人にはうれしかったはずだ。
「おひとりさま」の高齢者が増えるこれからの時代に、加藤さんの見せた幸せな相続はひとつのモデルとなる。
※女性セブン2019年8月22・29日号