遺産相続でのトラブルを回避するために重要なのが遺言書。しかし、形式や言葉づかいに不備があると無効になることも。行政書士の竹内豊さんが説明する(以下、「」内同)。
「例えば、日付や押印がないと無効。また、相続人に財産を残す場合は“相続させる”という言葉を使い、“譲る”“託す”“与える”などの表現は無効になる可能性が」
このように、細かいルールがたくさんあるのだ。また、遺言は、本当に本人が書いたものだと証明するために、遺言者の実印で押印し、印鑑証明をつけてもらうことも大切。住所や氏名も、印鑑証明書どおりに記載を。そして、財産ごとに、誰に相続させるかを書いておくこと。
「土地は所在地、預貯金は口座番号など、財産の所在をきちんと書き、相続させる相手は名前だけでなく、生年月日も明記すること。また、万一遺言者より先に相続人が亡くなった場合は、相続人の子である孫を指定するなど、対応を書くのもポイントです」
忘れてはいけないのが、遺言執行者の指定。遺言執行者とは、遺言内容を実現するための総責任者のことだ。
「破産者や未成年でなければ、相続人でもかまいませんが、行政書士など専門的知識がある人だとより安心です」
自筆で書く遺言書は「自筆証書遺言」といい、手軽に書けるのは魅力だが、紛失や改ざんの恐れもある。まず自筆で残して、機会を見て公正証書にしておくこと。
※女性セブン2016年6月2日号