堅調なドイツ・フランスの製造業PMIや米小売決算が好感されて22日のNYダウは小幅続伸したものの、ナスダック総合指数は反落したことから、23日の日経平均は、弱含みのスタートとなった。しかし、時間外取引の米株価指数先物や上海総合指数が上げ基調を保ったことなどから、日経平均は寄り付きを安値にプラスへと切り返し大引けでも続伸となった。ただし、イベントを控えた週末とあって、こう着感が強い展開となり東証1部の出来高は6営業日連続で10億株割れとなった。
今週の日経平均は、上値の重さを意識しながらも堅調な展開が予想される。先週の日経平均は心理的なフシである20000円が近づくにつれて下値買いの意欲が強まる構造を再確認することになって反発に転じた。米中貿易摩擦、香港・中東情勢、10月末を期限とする英国のEU(欧州連合)離脱など波乱材料はなお多いものの、米経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)でのパウエルFRB議長講演と、26日にかけて開催される主要7カ国(G7)首脳会議(サミット)の金融・政治のイベントを通過することで、短期的なアク抜け感が株式市場に漂う可能性がある。
また、テクニカル的にも日経平均は分岐点に差し掛かっている。日経平均を日足ベースでみると、下は5日移動平均線以上を維持できるかがポイントとなっている一方、上は8月9日戻り高値20782.06円を抜けてくるかが焦点となっている。ここを抜けてくると、8月6日から続く三角持ち合いを上に抜ける形となり、25日移動平均線が位置する21000円トライが視野に入ってくる。上値は依然重さが意識されるものの、5日移動平均線を維持しており上値追い基調はキープしている。
一方、23日まで東証1部の出来高は6営業日連続で9億株台にとどまっている薄商い状況から、中小型銘柄に物色意欲はシフトしやすくなる。なかで23日は1部を含めた東証全体の売買代金ランキングで28位に食い込む商い人気を伴ったブシロード<7803>の活況が目立った。その効果からツクルバ<2978>など直近上場株の一角に人気が波及し始めており、中小型株での循環物色が来週は期待される。
なお、マーケットでの具体的な反応は9月に入ってからとなるが、31日に中国8月製造業PMIの発表がある。9月2日はレイバーデー(労働者の日)で米市場が3連休となることから、週の後半にかけては手控えムードが強まる可能性もある。このほか、最近、米国や中国、欧州以外の経済指標や中央銀行の政策がマーケットに影響を与えることも散見されてきた。27日にメキシコが7月貿易統計と雇用統計、29日にブラジルが4-6月期GDP、30日にインドが4-6月期GDPをそれぞれ発表することから、これらにも目配せが必要となってこよう。
今週の主な国内経済関連スケジュールは、27日に7月企業向けサービス価格指数、29日に大和の企業業績見通し(速報版)、8月の消費動向調査(内閣府)、30日に7月失業率・有効求人倍率、7月商業動態統計、7月鉱工業生産の発表が予定されている。
一方、米国など海外経済関連の主要スケジュールは、26日に米7月シカゴ連銀全米活動指数、米7月耐久財受注、27日に米6月FHFA住宅価格指数、米6月S&PコアロジックCS住宅価格指数、米8月CB消費者信頼感指数、29日に米4-6月GDP改定値、米7月中古住宅販売仮契約、30日に米7月個人所得・個人支出、EU7月失業率、31日に中国8月製造業PMIの発表がそれぞれ予定されている。