投資情報会社・フィスコが9月9日~9月13日のドル円相場の見通しを解説する。
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今週のドル円はもみ合いか。世界経済の減速に対する警戒感は消えていないが、米中貿易摩擦の段階的な解消への期待は残されており、ドル円の取引では売買が交錯しそうだ。ただ、米連邦公開市場委員会(FOMC)会合を翌週(17-18日)に控え、今週発表される経済指標が低調だった場合、大幅利下げ観測が再浮上し、ドル円相場を下押しする場面もあろう。
英下院での欧州連合(EU)離脱延期法案の可決、解散・総選挙の早期実施提案の否決を受け、合意なきEU離脱への懸念はひとまず収束した。ただ、ジョンソン政権は10月末離脱の方針を改めていないため、英国の政治不安がすみやかに解消されることは期待できない。また、ユーロ圏経済の減速懸念は消えていないことから、ユーロ、ポンドに対するドル買いがただちに縮小する可能性は低いとみられる。欧州通貨売り・米ドル買いが続くことでドル円の取引にも影響が及びそうだ。新たなドル売り材料が提供されない場合、ドル円は下げ渋る状態が続く可能性がある。
一方、今月17-18日に開催されるFOMC会合での追加利下げが見込まれるなか、米経済指標への感応度が高まりそうだ。8月小売売上高が市場予想を下回った場合、9月FOMCにおける0.50ポイントの利下げを警戒したドル売りに振れやすい。
【米・8月消費者物価指数(CPI)】(12日発表予定)
12日発表の8月CPIは7月から横ばいの前年比+1.8%、同コア指数は7月を小幅に上回る前年比+2.3%と、底堅い内容が予想される。予想通りとなった場合、FRBによる大幅利下げ観測は後退し、ドル買い材料になる。
【米・8月小売売上高】(13日発表予定)
13日発表の8月小売売上高は前月比+0.3%と、7月の同+0.7%から鈍化が見込まれる。個人消費の減退で景気の息切れが意識されれば4-6月期国内総生産(GDP)の下方修正への思惑からドル売りが予想される。