学生時代を思い返すと、クラスに必ず1人はいた「いじられキャラ」。傍目にはクラスの人気者のようにも見えた子が、なぜ卒業後に同級生と一切連絡を断ったのか──。都内に住む自営業者・Yさん(40代)は、かつていじられキャラだった同級生のSさんの心の闇を知り、ショックを受けている。
きっかけは数年前、Yさんが同級生数人とお酒を飲んでいた時のことだった。「○○は転職したらしい」「△△は今、中国にいる」と、同級生の近況について話しているうちにSさんの名前も上がったが、誰も彼の近況は知らず、SNSでも一切接触がないことが分かった。その場はそこで話は終わったが、ほどなく状況が動いた。
「Sのことが気になった友人の1人が、わざわざSの実家に電話をして連絡先を聞き、Sに電話しました。しかし、久々の会話に感激する友人とは対照的にSはよそよそしく、『お酒でも飲もうよ』と言ったら、『お酒は飲めないんだよね』と答えたそうで、友人は、行きたくないサインだと察し、会うのを諦めたのです」(Yさん。以下「」内同)
クラスの盛り上げ役だったSさんの冷たい対応に友人はみな驚いたが、人にはそれぞれ事情があるもの。特にSさんにアプローチしないまま時は過ぎた。しかし今年の夏、ひょんなことから謎が解明される。Yさんが同級生のMさんと近所でばったり出会い、立ち話の中でSさんの話をすると、Mさんがあっさり「Sならこないだ会ったよ」と言ったのだ。
「MはSと仕事が同じで、ある現場でばったりSと会ったそうです。そこでSがMに語った言葉を聞いた時は、本当にショックでした。要するに『高校時代のことは思い出したくない』というのです」