19日の米国市場ではマイクロソフトが最大400億ドルの自社株買い計画と大幅な増配を発表し、ハイテク株を中心に買いが先行してナスダック指数は上昇した反面、米中高官協議を見極めたいとの思惑からNYダウは3日ぶりに反落した。一方、20日の日経平均は続伸した。前場に一時160円高まであったものの、為替がやや円高に振れ3連休を控えていることもあり上げ幅を縮める展開となった。ただ、大引けでは22000円台で踏みとどまった。
今週の日経平均は22000円台を固める一進一退の展開が予想される。17日までの10連騰で日経平均の上げ幅は1381.13円に達する中、フシ目である22000円台を回復したことで、市場のムードは騰勢一服のムードに傾きやすくなっている。
テクニカル的にも、19日時点での東証1部の騰落レシオは126.91%と約7カ月ぶりの過熱ゾーンにあり、利益確定売りが出やすい局面だ。また、ワシントンで19日から20日まで開催された次官級協議を受けた米中通商交渉の今後の動向に関心がシフトすることに加えて、イランのロウハニ大統領が出席する国連総会に中東情勢を巡る問題は舞台を移すことになる。米国がイランに対して軍事行動に踏み切ることになれば、株式市場にとっては大きな波乱要素となってくる。ただ、トランプ米大統領は大規模な武力行使に慎重姿勢を漂わせている。
一方、明るい材料もある。25日の日米首脳会談では日米貿易交渉の合意が発表される方向だ。既に9月に入り年初来高値を更新しているトヨタ<7203>やSUBARU<7270>に続いて、1月高値のホンダ<7267>、4月高値のマツダ<7261>などが水準を切り上げてくる期待がある。また、欧州に続いて米国の2008年12月以来の利下げという金融イベントを通過したことで、下値不安は薄らいできている。
日経平均は4月24日の年初来高値22362.92円の更新に向けては上値の重さが意識されるところだが、下押し場面での買いニーズは高まっている。基調の強さは、日銀によるETF(上場投資信託)買いが8月29日以降、実施されていないことがそれを物語っている。NYダウが7月16日に記録した最高値27398.68ドルを更新、または為替の一段の円安といったきっかけがあれば、日経平均は年初来高値をうかがう可能性もある。
物色的には9月末の配当など各種権利取り関連の流れに加えて、コロプラの人気化に見られるように好材料が出た銘柄の個別物色が期待される。20日はJPX日経400とともに大型株指数が反落しており、中小型銘柄にも活躍余地が広がってきそうだ。
今週の主な国内経済関連スケジュールは、23日は秋分の日で東京市場休場、25日に7月29日・30日開催の日銀金融政策決定会合議事要旨、8月企業向けサービス価格、26日に全国証券大会で黒田日銀総裁挨拶、配当・優待権利付き最終日、27日に9月都区部消費者物価指数が発表される予定だ。
一方、米国など海外経済関連の主要スケジュールでは、23日に米8月シカゴ連銀全米活動指数、24日に米7月FHFA住宅価格指数、米7月S&PコアロジックCS住宅価格指数、米9月CB消費者信頼感指数、25日に米8月新築住宅販売件数、26日に米4-6月期GDP(確定値)、欧州中央銀行(ECB)一般理事会(フランクフルト)、27日に米8月個人所得・個人支出、米8月耐久財受注が発表および開催される予定だ。