9月ISM非製造業景況感指数が約3年ぶりの低水準となり、3日のNYダウは、一時335ドル安まで下げ幅を広げたが、軟調な経済指標が続いたことで利下げを予想する見方が強まり、引けにかけて上昇に転じて3日ぶりに反発した。4日の日経平均は、円相場が1ドル=106円台後半と円高方向に振れたことから小幅安で始まったものの、後場に切り返し前日比68.46円高の高値引けと3日ぶりに反発した。日本時間21時30分に発表を控える米9月雇用統計をにらんでこう着感を強める展開だったが、円高一服と株価指数先物買いが寄与した。
今週の日経平均は、心理的な節目である21000円台をキープできるかが焦点となってくる。先週に日経平均は週間で約468円、2週間では668円程度の下げ幅をみていることから相応の自律反発も期待される。ただ、米国では1日発表のISM製造業景況感指数、2日発表のADP雇用統計、3日発表のISM非製造業景況感指数といった9月の重要経済指標が相次ぎ悪化し、NYダウは景気減速への懸念を強めている。
来週は米国でインパクトの大きい経済指標の発表は見当たらないことは救いだが、利下げ期待の高まりによって日米金利差の縮小への思惑から為替相場が円高に進むと、日経平均に下方圧力が強まることになる。
また、今週の相場の関心は、米国経済動向から米中貿易問題に移る。10日に中国の劉鶴(リュウ・ハァ)副首相が米国ワシントンを訪れて米国側の米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表、ムニューシン米財務長官と2日間の予定で米中閣僚級貿易協議が開催される。7月末の上海での開催以来だ。
トランプ米政権は10月15日に2500億ドル(約27兆円)分の中国製品への制裁関税を現在の25%から30%に引き上げる構えをみせているほか、12月15日に制裁関税「第4弾」の残りを発動する予定となっている。10月15日を前に妥協点を見いだせるかが焦点で、協議に進展がなければ報復関税の応酬が再開されて貿易戦争が激しくなるリスクがある。中国では7日で国慶節による大型連休が終わり、8日から中国の上海証券取引所も再開となることから、日経平均はこれらをにらんで、神経質な展開となることが予想される。
物色的には、個別材料株に関心が向かうことになりそうだ。まず、今週はノーベル賞ウイークとなり、7日にノーベル医学生理学賞、8日にノーベル物理学賞、9日にノーベル化学賞、10日にノーベル文学賞、11日にノーベル平和賞の発表がそれぞれ予定されている。過去の日本人の受賞は米国籍2人を含め計26人で、2年連続での日本人の受賞があれば物色へのインパクトになる。一部の報道では、医学生理学賞で「ゲノム編集」、物理学賞で「強相関電子物質」、化学賞で「リチウムイオン電池」の研究が注目されている。
このほか、翌週15日からアジア最大級の規模を誇るIT技術とエレクトロニクスの国際展示会「シーテック2019」(千葉、18日まで)が開催される、イベントスケジュールをにらんで材料株物色が高まる期待がある。
また、消費関連を中心とする決算発表が本格化し、8日にJフロント<3086>、吉野家HD<9861>、9日にローソン<2651>、イオン<8267>、10日にファーストリテ、7&iHD<3382>、安川電機<6506>、11日に東宝<9602>がそれぞれ決算発表となる。消費関連株の場合は、結果よりも消費税引き上げ後の対応や見通しに関心が向く。また、安川電機の今2月期第2四半期(3-8月)決算発表は、中国関連、設備投資関連の先行指標として注目される。
今週の主な国内経済関連スケジュールは、7日に8月景気動向指数、8日に9月景気ウォッチャー調査、8月国際収支、8月家計調査、8月毎月勤労統計調査、10日に9月国内企業物価指数、8月機械受注、9月都心オフィス空室率、11日に9月マネーストックがそれぞれ発表される予定だ。
一方、米国など海外経済関連の主要スケジュールでは、7日に米8月消費者信用残高、8日に米9月生産者物価、9日に9月17・18日開催のFOMC議事録要旨、10日に米中閣僚級貿易協議(11日まで、ワシントン)、米9月消費者物価、EU経済・財務相理事会(ルクセンブルク)、11日に米9月輸出入物価、米10月ミシガン大学消費者マインド指数の発表、開催が予定されている。