この点だけを見てしまうと、政治力、営業力のある企業といった印象が強くなってしまうが、多くのアナリストたちが注目しているのは新技術をいち早く導入しようとするその経営方針である。
同社は自動車教習用のVR練習機の開発に積極的に取り組んでいる。北京千種幻影科技と提携し、映像の遅延をできるだけ小さくし、画像の精度を上げるVRシステム作りを進めている。8月にはVRによる法規学習を国内で初めて導入した。
訓練についても基礎段階から徐々に導入が進む見通しであり、今後、指導員の数、ガソリンの消費量、メンテナンス費用などを減らし、投資額、コストを減らすことができると期待される。5Gサービスの普及はVR機能のポテンシャル引き上げに大きく貢献するはずで、同社のVR開発はこれを契機に大きく進展するはずだ。
5Gサービスといえば、スマホ、通信機器、IoT(モノのインターネット)家電、自動運転、ゲーム、医療サービスなどに注目が集まっているが、今回紹介した自動車教習所のように、意外な分野でも新たな需要が生まれそうだ。
文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うTS・チャイナ・リサーチ代表。メルマガ「田代尚機のマスコミが伝えない中国経済、中国株」(https://foomii.com/00126/)、ブログ「中国株なら俺に聞け!!」(http://www.trade-trade.jp/blog/tashiro/)も展開中。