欧州連合(EU)が英国のEU離脱案に合意し、買いが先行したことを受けて17日のNYダウは反発した。動画ストリーミングのネットフリックスや大手金融機関のモルガン・スタンレーやタバコ会社のフィリップ・モリスの決算が好感されたことも支援材料として働いた。この流れを受けて18日の日経平均は反発した。午前11時に発表された中国9月小売売上高、中国7-9月期GDPの前年比、伸び率ともに事前予想に収まる中、9月の中国鉱工業生産、前年比+5.8%と予想より強めの数値となったことを好感して日経平均は前日比197.99円高となる場面があり、16日の年初来高値を更新した。しかし、昼休みの時間帯に中国・上海総合指数が下げに転じたことを受けて上げ幅を縮小し、後場はもみあいとなり、前日比40.82円高の22492.68円で大引けた。
今週の日経平均は、22500円処での底固めを進める中、昨年10月以来となる23000円ラインを視界にとらえるかが焦点になってくる。米中貿易協議の部分合意に加えて、欧州連合(EU)と英国のEU離脱案合意と外部環境は大きく好転してきた。一部の予想を下回る米国経済指標やジョンソン英国首相が欧州連合(EU)と合意した離脱案が議会で否決される警戒感、「香港人権法案」に絡んだ中国問題、トルコを含む中東問題と懸念材料は残るものの、市場心理は弱気に傾いていたセンチメントの巻き戻しが継続しやすい状況にある。日本、米国、中国ともに今週は、マーケットに強度の大きい経済指標の発表は見当たらないことも注目点だ。
こうしたなか、株式市場の関心は、企業決算に一段とシフトしてくることが見込まれる。米IBMなど一部企業についてはコンセンサスを下回ったことが嫌気されているが、モルガン・スタンレーなど主要企業については概ね堅調な決算が相次いで買い安心感につながっている。今後、米国では、22日にP&G、マクドナルド、テキサス・インスツルメンツ、23日にキャタピラー、ボーイング、マイクロソフト、フォード、24日にインテル、ビザ、アマゾンがそれぞれ決算発表を予定している。
日本でも主要企業の決算発表が始まり、23日に日本電産<6594>、24日に中外製薬<4519>、東京製鐵<5423>、25日に信越化学工業<4063>、エムスリー<2413>などが決算発表を控えている。一部で注目されている「7-9月期が業績のボトム」で「10-12月期から回復期入り」というシナリオが描けるかかが、年末高に向けたポイントとなってくる。いずれにせよ、物色的には決算発表で一喜一憂する展開が強まってくることになると予想される。
一方、週後半にかけては、10月29日から30日にかけてのFOMC(連邦公開市場委員会)に関心が向くことになりそうだ。日本時間31日午前3時に声明発表、同3時半に記者会見が予定されている。FOMCは11月の開催はなく、この10月と12月10日から11日の年内あと2回の開催を残すのみとなっている。米9月小売売上高が今年2月以来となる前月比マイナスと予想外に落ち込んだことから、10月の利下げ確率は高まっていることが、相場の下支えとして働いてこよう。
今週の主な国内経済関連スケジュールは、21日に9月貿易統計、8月全産業活動指数の発表、22日は即位礼正殿の儀で東京市場は休場が予定されている。
一方、米国など海外主要スケジュールでは、22日に米9月中古住宅販売件数、23日に米8月FHFA住宅価格指数、24日に米9月耐久財受注、米9月新築住宅販売件数、ECB定例理事会(ドラギ総裁記者会見)、25日に米10月ミシガン大学消費者態度指数・確報値が予定されている。