それでも厚労省は「長く働けば年金額も増える」と宣伝し、今回の年金改革で厚生年金の加入年齢の上限を現在の70歳から75歳まで延長し、国民に細く長く働いて保険料を納めてもらうことを検討している。“年金博士”として知られる北村庄吾氏は「注意が必要」とこう指摘する。
「現在は65歳を過ぎても年金を受給しながら会社員として働けば、70歳になった段階で、その間に支払った保険料に応じて年金が増額される。ただし、増額分で払い込んだ保険料の総額を取り戻すには85歳くらいまでかかります。長く厚生年金に加入すれば年金は増えますが、保険料支出を勘案するとトータルで得とは言えません」
“長く働く”は、老後の毎月の定期収入が足りないときの手段と考えたほうが良さそうだ。
※週刊ポスト2019年11月1日号