31日のNYダウは、米中貿易協議に不透明感が台頭するとともに、一部の経済指標を嫌気して140.46ドル安と反落した。この米国株安と3連休控えとなった11月1日の日経平均は寄り付き直後に前日比221.44円安と大幅反落で始まった。一時1ドル=107円台まで円高が進んだことも嫌気されたが、先物の買い戻しなどから朝安後の日経平均は下げ幅を縮める展開となって76.27円安の22850.77円で大引けた。個別では、上期決算が市場予想を上回った任天堂<7974>の上昇が目立った。
今週の日経平均は、次の展開を探るもみあいが見込まれる。先週までで日経平均は4週連続高となるなか、心理的な節目である23000円に突っ掛けた目標達成感も生まれて一服感が生じやすいタイミングだ。31日発表の米シカゴ購買部協会景気指数が3年10カ月ぶりの低水準まで下げたことで、米国の景況感に対して警戒感が生じてきた。
5日の米10月ISM非製造業景況指数や8日の米11月ミシガン大学消費者マインド指数などで弱い数字が表面化すると、東京市場にも下振れ作用として働いてこよう。また、米長期金利の低下とともに為替相場が円高方向に振れる場面が先週あった。米連邦準備制度理事会(FRB)による政策金利の引き下げ打ち止め観測が広がると、ドル安・円高を誘いやすくなり、日経平均の調整幅が大きくなる可能性もあり、為替動向も気掛かり材料だ。
一方、中国メディアの財新が1日に発表した10月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は51.7と9月から上昇し、約2年半ぶりの高水準となったことを受けて、中国の景況感に対する過度な懸念は足元で後退している。中国最大の小売りイベント「独身の日」を翌週の11日に控えて消費を刺激するニュースも出やすいことが予想される。
全体では強弱感が交錯する中で、関心は引き続き企業業績に注がれることになる。主力銘柄では5日にNTT<9432>、6日にソフトバンクG<9984>、SUMCO<3436>、7日にトヨタ<7203>、8日にホンダ<7267>、ブリヂストン<5108>がそれぞれ決算発表を予定する。8月の第1四半期決算発表時に減収減益の通期予想を下方修正しているトヨタの決算内容が関心を集めることになるだろう。
また、NTTやKDDI<9433>など通信会社のトップが一堂に顔を揃えて出席する次世代通信規格「5G」に向けた「TOKYO Data Highwayサミット」が8日に東京都庁で開催されることから、物色テーマとして「5G」関連が注目される可能性がある。5G基地局の測定電子計測器を手掛けるアンリツ<6754>を中核に、アルチザ<6778>やエコモット<3987>など中小型株にも人気が拡大するかが焦点となる。
今週の主な国内経済関連スケジュールとして、4日は文化の日の振替休日で東京市場休場、5日に10月マネタリーベース、6日に9月18・19日開催の日銀金融政策決定会合議事要旨、7日に10月都心オフィス空室率、8日に9月景気動向指数、9月毎月勤労統計調査、オプションSQがそれぞれ予定されている。
一方、米国など海外主要スケジュールでは、5日に米9月貿易収支、米10月ISM非製造業景況指数、8日に中国10月貿易収支、米11月ミシガン大学消費者マインド指数、9日に中国10月CPI(中国消費者物価指数)が予定されている。