しかし、中国人民銀行の易綱総裁は9月24日の記者会見で、「デジタル人民元の発行に向けたスケジュール表はない。研究、試験、評価、リスク管理などがまだ必要だ」と語り、市場に流れる早期発行の観測を否定した。
そのうえで、易総裁は、2014年から中国人民銀行の専門チームがデジタル通貨を研究していたことを認めて、前向きな成果が出ていると明かした。発行の狙いについては、現金の一部を代替することが目標だと指摘した。
「早期発行は否定したとはいえ、中国人民銀行の総裁が記者会見の席で正式に『デジタル人民元』について具体的に言及したのは初めてのこと。研究が確実に進んでいる現状がうかがえる。特に、中国政府の締め付けに抵抗しようとデモの嵐が吹き荒れる香港へ世界の目が集まっている現在、デジタル人民元の発行は香港から世界の目をそらすインパクトを持つ。そんな思惑から、意外に早い時期にデジタル人民元が発行される可能性はあるだろう」(前出・ITジャーナリスト)