金融庁は2019年9月6日、LINEのグループ会社のLVCを仮想通貨交換業者に認可登録した。楽天とYahoo!JAPANもそれぞれの関連会社を通じて仮想通貨の取引所事業を進めており、日本の仮想通貨業界は大手IT企業も交えた「戦国時代」の様相を色濃くしている。その一方で、金融庁による仮想通貨取引の新たな規制強化が打ち出されている──。
2019年5月31日に資金決済法と金融商品取引法(金商法)の改正法が参議院本会議で可決・成立し、2020年4月から施行される予定だ。その改正の狙いについて、仮想通貨取引所関係者はこう語る。
「今回の改正法では仮想通貨の名称を『暗号資産』へ変更するとともに、仮想通貨交換業者に登録制を導入したものの、これまで明確な規制がなかった取引そのものに制限をかけることが大きな狙いといえる」(以下「」内同)
なかでも、仮想通貨交換業者が特に注視しているのは、証拠金取引についての改正点だという。
「少ない元手でもレバレッジをかけることで多額の売買ができる証拠金取引が、今回の改正によってFX(外国為替証拠金取引)と同様に金商法の規制対象となる。証拠金取引は国内の仮想通貨取引の約8割を占めるといわれるが、これまでは金商法の規制の対象とはなっておらず、レバレッジ100倍の取引も可能であった。それに対し、投機熱の高まりを懸念する金融庁は利用者保護の見地から、個人取引のレバレッジの上限をFXの現行25倍よりはるかに抑えたい方針のようだ」
金融庁のレバレッジ規制の方向性を察知し、すでに仮想通貨業界内部からの対策も進められている。仮想通貨の自主規制団体である一般社団法人日本仮想通貨交換業協会(JVCEA)は、仮想通貨の証拠金取引に関する“自主規制ルール”として、レバレッジを4倍以下と定めている。