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【日本株週間見通し】日経平均は年初来高値更新も今週は調整?

 7日の米国市場は、米中両国が段階的な関税措置の撤廃で合意したことが伝わったことに加えて、長期金利の上昇を受けて金融セクターを中心に買いが広がり、NYダウとS&P500指数はともに最高値を更新した。この流れを受けて8日の日経平均も年初来高値更新となった。一時260.77円高の23591.09円まで上げたが、米中貿易協議を巡り、米大統領補佐官による現時点での合意を否定した発言が報じられ、この日のSQ値23637.93円に届かずに失速すると、前引け間際にマイナス圏にはいる場面もあった。ただ、その後に持ち直し61.55円高の23391.87円と4日続伸して大引けた。個別では好決算のテルモ<4543>の急騰が注目されたほか、トヨタが5日続伸し連日の高値更新となった。

 今週の日経平均は、23000円台での日柄調整に転じてきそうだ。追加関税における段階的な撤廃で合意など米中協議の進展と米国株高、為替の円安を背景に、先週の日経平均の上げ幅は541円強で、5週連続高となったこの間の上げ幅は1981円超に達している。7日の時点で25日騰落レシオが134.3%となるなど高値警戒感は高まっており、上値追いに慎重になるのは自然な流れでもある。8日の日経平均が、SQ値23637.93円を前にして失速したことで、目先はこのSQ値が一つの上値めどとして意識されてくることにもなりそうだ。

 引き続き、米中貿易協議の進展に向けたニュースに敏感に反応する地合いが継続することにもなるだろう。また、13日に予定されるパウエルFRB議長による米議会の上下両院合同経済委員会の公聴会における議会証言と、14日に集中している10月小売売上高などの中国経済指標も気掛かり材料だ。

 15日に予定されている10月小売売上高など米国の経済指標については、いずれも、東京市場の大引け後の発表時間であり、週末にかけての手控え要因として働きやすい。しかし、全般が調整に転じたとしても、大きな崩れを引き出す悪材料も見あたらず、日経平均は23000円台の高値圏でもちあう非常に強い動きを維持することが見込まれる。ここからは、昨年10月2日に付けたバブル崩壊後の最高値24448.07円に向けた波動に入る準備局面入りと見ることができる。

 こうしたなか、今シーズンの決算発表は14日で一巡する。主要銘柄では、11日に大林組<1802>、12日に富士フイルム、日産自動車<7201>、13日にリクルートHD<6098>、三菱UFJ<8306>、14日に日本郵政<6178>、みずほ<8411>が予定している。決算悪が警戒されたソフトバンクグループの株価が持ち直し、事前予想を上回った決算のトヨタが堅調に推移していることで業績に対する警戒感は後退している。先週は半導体関連人気が一巡して、紙パルプ、海運などにも物色の矛先が向いたが、引き続き、相場的に出遅れた業種・銘柄での循環物色が続きそうだ。

 今週の主な国内経済関連スケジュールは、11日に10月景気ウォッチャー調査、9月機械受注、10月30日・31日開催の日銀金融政策決定会合の「主な意見」、12日に10月マネーストック、10月工作機械受注、13日に10月国内企業物価指数、14日に7-9月期GDPの発表がそれぞれ予定されている。

 一方、米国など海外主要スケジュールでは、11日は退役軍人の日(ベテランズデー、米債券市場が休場)、13日に米10月消費者物価、米10月財政収支、パウエルFRB議長の議会証言、14日に中国10月都市部固定資産投資、中国10月鉱工業生産、中国10月小売売上高、米10月生産者物価、15日に米10月小売売上高、米10月鉱工業生産・設備稼働率、米11月NY連銀製造業景気指数、米10月輸出入物価が予定されている。

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