「コスパ」が重視される昨今、回転寿司店のメニューの中で「原価率が高いネタ・低いネタ」は気になるところ。そこで、専門家と回転寿司店への取材をもとに、1皿100円メニューの“相場”を割り出した。著書に『回転寿司の経営学』(東洋経済新報社刊)がある評論家・米川伸生氏が明かす。
「生モノの原価がとりわけ高い。ウニは1皿100円のうち約85円、マグロは同75円、イクラは同70円が原価でトップ3を占めます。それに続くのは、タイやハマチ、カツオ、キングサーモンなどで、原価は約65円ほどです。
一方で、子供に人気の玉子は15円、エビ(ボイル)、ツナマヨ、カッパ巻きなどは20円程度と安い。回転寿司の客層は家族連れが多く、原価の高い生モノが苦手な子供たちが安いネタを食べることで、商売が成り立っているのです」
ウニ、マグロ、イクラといった鮮度が命の高級食材の原価が高いのは頷けるが、意外なのは「エビ」の原価が安いことだろう。『お店がバラせない「儲け」の秘密』(宝島社刊)の監修者で、調達業務研究家の坂口孝則氏が解説する。
「高級食材イメージのあるエビですが、1皿100円で提供されるエビの多くはバナメイエビという品種を使っており、冷凍でもボイルすることで味の質を担保しています」
バナメイエビは東南アジアなどで養殖され、ボイル加工・冷凍してから輸入されるため、長期保存も可能だという。ある回転寿司店の店長は、別のメリットを明かす。
「生モノは店舗でカットするなど手間やコストがかかるものも少なくないが、ボイルエビは解凍して、ロボットが作ったシャリに乗せるだけ。職人でなくアルバイトでも調理できるため人件費削減に繋がっている」
※週刊ポスト2019年11月29日号