粗利益80%を叩き出す秘密
社名から外資系企業と誤解されることも多いが、同社は1974年に滝崎武光氏が兵庫県尼崎市で設立した創業45年の日本企業である。
社名は「キー・オブ・サイエンス」に由来しており、自動車や精密機器、半導体製造の工場などでの生産工程を自動化するセンサーや画像処理システムを手がけている。現在は大阪に本社を置き、従業員数は7941人(2019年3月期)。46か国210拠点で事業を展開し、25万社と取引があり、いまや売り上げの半分を海外が占める。
製造しているのは工場向けの製品で、しかも半分は海外向け。だから一般的に知られていないのだ。キーエンスの強みとは何か。公認会計士の川口宏之氏はこう話す。
「キーエンスは自社で工場を持たず、商品の製造は安く外注しているため、粗利益(売上高から原価を差し引いたもの)が極めて高いのです。製造業の粗利益率の相場はせいぜい20~30%くらいですが、キーエンスは82.3%(2019年3月期)と突出しています」
自社製造の代わりにキーエンスが力を入れているのが、圧倒的な「営業力」だ。