さらにここにきて浮上しているのが、誰もがあり得ないと思っていても絶対ないとは言い切れなくなった「トランプ大統領リスク」である。トランプ氏はドル高を問題視し、「イエレンFRB議長を更迭する」などと発言しており、これも米経済を少なからず揺さぶっている。
そのような米中欧の不安要因によって、特に米国では株に対する不信感が高まるなか、ニューヨーク先物市場で金が囃される構図となっている。
実際、5月の連休中にはそれを象徴するような出来事も見られた。ニューヨークで開催されたヘッジファンド会議で、「ソロスの右腕」と称される伝説のファンドマネージャーであるドラッケンミラー氏が「株から撤退せよ。金を持て」と発言したのだ。同氏の運用するファンドは過去30年間、一度もマイナスがなく、年間平均リターン30%もの実績を残している。
そんな同氏が昨年4~6月期に金ETFを約3億ドル(8トン相当)購入しており、まだまだ注目するというのだから、ヘッジファンドをはじめ短期マネーがこぞって金を買い上げるのも当然だろう。
※マネーポスト2016年夏号