【あのIFAに会いたい 宗正彰の「資産運用業界」探訪/第1回】
ゲスト/株式会社アイ・パートナーズフィナンシャル
代表取締役 田中 譲治氏
ホスト/三井住友DSアセットマネジメント株式会社
オンラインマーケティング部長 宗正 彰氏
欧米では一般的な「独立系フィナンシャルアドバイザー」
宗正:IFAとは、特定の金融機関に属さず、中立的な立場で資産運用のアドバイスを行うプロフェッショナルのことです。名称は「Independent Financial Advisor(独立系フィナンシャルアドバイザー)」の略で、すでに欧米では、個人投資家にとって非常に身近な存在です。日本でも昨今、知名度が高まりつつあり、IFAを介した資産形成が広まっています。
そこで、読者の皆さまにIFAの理解を深めて頂くべく、業界のリーダーの方々にインタビューをしていきたいと思います。第1回目は、国内で最も早くIFA向けにプラットフォームを提供する会社を立ち上げた、アイ・パートナーズフィナンシャルの田中譲治代表取締役です。まずは、田中代表がIFAとして活躍するようになるまでの経歴についてお聞かせください。
1979年に大和証券入社。同社京都支店にてリテール営業を経験した後、モルガンスタンレー証券、UBS証券にて機関投資家向け株式営業に従事。その後、メリルリンチ日本証券にて個人向け資産管理型営業に携わる。2002年に独立系フィナンシャル・アドバイザー(IFA)として独立。2009年にアイ・パートナーズフィナンシャル創業。2010年より現職。
田中:私は、国内証券でおもに個人向け営業を担当し、外資系証券で機関投資家向けの法人営業を担当してきました。その後、2002年に当時の日興コーディアル証券で私自身がIFAとして活動を始めました。
IFAの最大の特長は「ノルマがない」=「顧客本位の提案ができる」こと
中央三井信託銀行(現在の三井住友信託銀行)にて、「運用企画/ファンドマネージャー/株式アナリスト」を歴任。上場企業の経営戦略担当取締役を経て2008年に当社入社。投信ブランドマーケティングや投信直販事業など、特にオンラインの特性を活かした新たなビジネススキームを構築。現職ではIFA法人を始めオンライン証券やネット銀行など、新たな投信チャネルを統括。
三井住友DSアセットマネジメント「ユアみらいネット」
宗正:当時はまだIFAは多くなかったと思いますが、なぜ、IFAになられたのでしょうか?
田中:私が現役の証券マンだった頃は、顧客に薦める株式や投資信託の銘柄は大体決まっていた上に、営業ノルマがありました。しかし、顧客と接していくうちに、本当に顧客本位のサービスを提供するためにはノルマのない立場で顧客に提案することが不可欠である、ということを実感したのです。そこで、営業ノルマのないIFAになったのです。
宗正:ご自身がIFAになるだけではなく、IFAの会社を設立されるということは大きなご決断だったと思いますが、どのような思いで会社を設立されたのでしょうか。
田中:IFAとしての活動を重ねていくうちに、金融機関の都合で顧客に金融商品を提案している日本の金融業界を変える必要があると考えたんですね。IFAは営業ノルマがないだけではなく、特定の金融機関に所属せず中立の立場から顧客のために働いています。そのようなIFAを増やそうと考え、IFAが顧客提案に専念して働ける会社を立ち上げました。
宗正:顧客本位の提案を行うIFAの方々にとっては、顧客提案に専念できるということはとても大切ですね。御社には、顧客からの厚い信頼があり顧客へ多くの時間を割いているIFAの方々が集まっているのだと思います。
田中:そうですね。2019年10月現在、弊社には約170名のIFAが所属しており、IFAプラットフォームビジネスとしては国内最大です。所属するIFAとは業務委託契約を結んでおり、IFAは独立して起業した個人事業主という位置づけです。転勤はありませんので、全国20拠点の内、どのオフィスで働くかはIFA自らが選びます。働き方としては、開業医や弁護士、税理士などと似ています。
宗正:まさに信頼第一の職業ですね。所属するIFAの方々には御社からどのようなサポートをされているのですか。
田中:弊社の所属IFAには、コンプライアンス管理や、定期的な研修、セミナーの開催などを通して活動をサポートしています。弊社のIFAは全国におりますので、研修や会議などは基本的にオンラインで実施します。また、IFAのスケジュールを拘束せず顧客優先にしてもらうためにも、都合の良い時間にセミナーなどを受講できるオンデマンド配信の環境を整えています。弊社は、IFAの方々が業務に専念できる「プラットフォーム」なのです。
IFAに求められる資質は顧客本位の考えと独立心
宗正:御社ではどんな方々がIFAとして活動されているのでしょうか。最近は、30代の若い世代の金融マンがIFAになるケースも増えていると聞いています。
田中:証券会社等でしっかりと顧客との信頼関係を築いてきた金融マンが、IFAとして独立して弊社に所属するというケースがほとんどです。最近は、ようやくIFAの知名度も上がってきたので、IFAになる年齢層も幅広くなってきましたね。
宗正:国内最大のIFAプラットフォームビジネスを行う御社には、IFAを志望する多くの優秀な金融マンから応募があると思いますが、応募してきた全ての人がIFAになれるわけではないですよね。
田中:もちろんです。IFAには高度なコンプライアンスが求められるので、どんなに成績優秀な金融マンであってもコンプライアンスに対する意識が低い人は、まずお断りします。また、IFAの独立性を重視しているため、組織に対する依存心の強い人もお断りします。
宗正:御社がIFAの方々に求める人物像はどのようなものでしょうか。
田中:真に顧客のための提案ができるように独立した立場で資産運用の手助けをしたい、という人でなければIFAは務まりません。弊社が求めるIFAは、「お客様重視を実現したい人」「IFAとして能力向上に熱心な人」「起業家精神の旺盛な人」「コンプライアンス意識の高い人」です。所属するIFAとの面接はすべて私がやってきました。
宗正:御社に所属するIFAの方々は、田中代表の厳しい目で選ばれた方々ということですね。ところで、御社として所属するIFAの方々に対して資産運用の方針を打ち出す、といったことはあるのでしょうか。
田中:個別の金融商品に関して、会社側から方針を出すといったことはありません。IFAがそれぞれの独立した立場で投資家である顧客のニーズに合ったものを提案する、ということに尽きます。IFAは顧客からの信頼がビジネスの基盤です。IFAが仕事を続けていくためには、顧客との信頼関係を長期間にわたって構築していくことが必要です。そのためには、おのずと長期にわたって顧客の資産形成に結び付く提案になります。
宗正:投資信託で長期の資産形成を提案している私ども運用会社と通じるものがあります。顧客の長期の資産形成にあたり、田中代表が注目をされているトピックスはありますか?
田中:弊社では最近、IFA向けの研修で「金融ジェロントロジー(金融老年学)」をテーマに取り上げました。人生100年時代と言われる今、資産寿命の延ばし方は非常に重要なトピックスです。そういう意味では、御社の定率分配型の投資信託「ライフ・ジャーニー」は、まさに顧客の長期的な資産形成に適した商品ですよね。
宗正:ありがとうございます。
「IFAをより多くの人々の資産運用の担い手にしたい」
宗正:最後に御社の今後の目標を教えてください。
田中:まず、3年後を目途に上場をしたいと考えています。これは、会社設立時からの目標です。弊社の経営理念は、「日本のリテール金融改革を通じて社会に貢献する」というものです。会社の成長だけではなく、IFAとして活動する人を10年後に1000人、20年後には5000人にまで増やしたい。日本の金融業界が真の意味での顧客本位に変わる“リテール金融改革”を、弊社が主体となって実現させたいと思います。
宗正:田中代表の目指す“リテール金融改革”の実現に向けて弊社もお力添えしたいと考えております。では、最後に読者の方にメッセージをお願いします。
田中:かつての金融業界は自社の推奨商品を提案する営業スタイルで、そこには顧客のニーズなどが介在する余地は皆無でした。しかし現在は、真の顧客本位の提案を行うIFAがいます。そして、弊社のようにIFAの活動を支える会社があります。「資産運用のアドバイスはIFAにお願いしたい」と皆様に思って頂けるよう、これからも尽力して参ります。
宗正:田中代表、本日はありがとうございました。
田中:ありがとうございました。
対談を終えて
オンライン証券のイベント会場で初めてお会いした時、独特かつ強面な雰囲気と屈強そうな体格に圧倒された記憶がある。それは後で知ることになる鹿児島出身の「薩摩隼人」の世間のイメージそのもの。しかし、業界や社内の皆から「譲治さん」と尊敬と親しみを持って呼ばれ笑顔で応える彼を知るに連れ、実感したことがある。それは自身に厳しく他人に優しいリーダーだということ。だからこそ、国内最大手のIFAプラットフォームを具現化できたのだろう。(三井住友DSアセットマネジメント オンラインマーケティング部長 宗正彰)
株式会社アイ・パートナーズフィナンシャル
金融商品仲介業者 関東財務局長(金仲)第314号
【所属金融商品取引業者】
(楽天証券株式会社)
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第195号
加入協会:日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、日本商品先物取引協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会
(株式会社SBI証券)
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第44号
加入協会:日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会
(エース証券)
金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第6号
加入協会:日本証券業協会
三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会
三井住友DSアセットマネジメント「ライフ・ジャーニー」については、ホームページ(https://www.smam-jp.com/fund/top/1253958_1551.html)をご覧ください。また、お申込みにあたっては、必ず投資信託説明書(交付目論見書)をお読みください。