中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

「今度飲みましょう」を真に受けるとすごく喜ばれるのはなぜか

 そして、実際にその方と会う当日は楽しい時間になり、「本当にこうしてご一緒の時間を過ごせるとは思いませんでした」と言われるのですが、こうした流れを経験すると、3つの事実が分かります。

【1】人は社交辞令を案外言う。それを真に受けるとバカを見る。
【2】人は(特に飲み会の)約束を軽く考えている。破っても「みんな忙しいもんね~」という言い訳が通用すると思っている。
【3】自分がその人との時間を作りたいと思っていても相手はそうは思っていないことが多い。

 多分、こうして私と会ってくれた方々は、散々「今度飲みましょうよ」という誘いを真に受け、裏切られたり、あくまで社交辞令と割り切ったうえで「やっぱり『今度』は絶対来ないもんだね(苦笑)」ということを経験し続けてきたのでしょう。だからこそ飲み会が実行されることになると、「本当にこうしてご一緒の時間を過ごせるとは思いませんでした」という発言に繋がるのです。こうした反応はこの10年ほどで何度も経験してきたので、多分真実でしょう。

約束を作り、それを守る

 これを見ると、「約束を作り、守る」という非常に簡単なことをするだけで、「この人は信用に値する」と思ってもらえることが分かります。上記【1】【2】【3】的な風潮があるだけに、実に簡単な行為をするだけで、相対的にあなたが「まとも」「人格者」扱いされるようになるのです。

 不思議なことですが、子供時代の方が約束って守ってきたような気がします。私は東京都立川市の公立小中学校に通いました。大学進学率はそこまで高くなく、金持ちもあまりいないような学校ではありましたし、私が入る数年前までは「荒れた中学校」的な言われ方をしていた学校でもあります。

 だからこそ「あの学校はバカばかり」みたいな誹謗中傷もありましたが、それでも、遅刻をするような生徒は皆無でした。それだけ「遅刻はよくないこと」という共通の認識が、各生徒、そして保護者にもあったのでしょう。

 こうした学校の生徒達がキチンと約束を守っていたのに、どんなに立派な肩書を持つ大人であっても約束を守らない。いや、「約束なんてしてねーだろ」という話ではありますが、「今度飲みましょう」「いいですね」は約束です。オファーした人か答えた人、どちらかがキチンと場を作らなくてはいけないんですよ。

「社交辞令を真に受けるのがバカ」と言うなら言ってもいいですが、私はそういう人とは極力接点を持ちたくないですね。ずっと社交辞令を言い続けて信頼を失い続ける人生をお送りください。「あいつは口だけ」と言われない方が人生は好転します。

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