田代尚機のチャイナ・リサーチ

中国本土株に3つの買い材料 回復期待高まる

それよりも投資家が気にしたのは、5月9日付人民日報の記事で、共産党に近い筋からの意見として、景気低迷の継続を肯定するような内容の記事が掲載されたことである。さらに、16日に開催された中央財経領導小組第13次会議で、習近平国家主席が供給側改革の重要性を強調した。

供給側改革ではレバレッジの正常化が求められる。株式市場においては、信用取引に対する監督管理の強化や、場外配資(証券会社以外から資金を借り入れて株式取引をする方法)に対する規範化が進むことで、相場における主要な原動力である投機資金が不足しがちになる。

ただし、景気については6月1日に発表された5月の製造業PMIは4月と同じで、市場予想をわずかだが上回った。金融政策では、中国人民銀行はオペレーションに加え、SLF(Standing Lending Facility)、MLF(Medium-term Lending Facility)、PSL(Pledged Supplementary Lending)などを駆使して金融市場の安定を図っている。また、証券行政では、監督管理を強化するといった幹部の発言はみられるものの、実際に信用規制が強化されるようなことには至っていない。

また、積極的な買い材料も存在する。いずれも株価低迷前から材料視されていたものばかりであるが、(1)社会保障基金の株式市場への参入、(2)A株のMSCI採用銘柄入り、(3)深港通(深セン・香港の株式市場の相互乗り入れ)の開始などである。

(1)については、5月1日に全国社会保障基金条例が施行されたことで、2兆元程度と見られる資産の一部(最大30%まで)が株式投資に回ると見られる。

(2)については、昨年は見送りとなったが、その後、当局が障害となる海外投資家に対する株式の分配プロセス、資本流動制限、実質的な株式保有による権限などについて、大きく改善させたことで、今年は採用される可能性が高まっている。もし採用されることになれば、QFII(適格国外機関投資家)などを通じ、国際的な資金が大量に流入すると期待される。

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