いよいよ2019年も大詰め。自宅でのんびり派の年越しには、NHK紅白歌合戦や日本レコード大賞の行方も楽しみだろう。そうした中で経済的な視点から、この年末に注目したいヒットソングが『パプリカ』だ。
『パプリカ』は2020年とその先の未来に向けて頑張る人を応援するというNHKの「2020応援ソングプロジェクト」から生まれた曲で、作詞・作曲は『Lemon』で知られる米津玄師が手がけ、オーディションで選ばれた5人の小中学生ユニット、Foorin(フーリン)が歌っている。
パプリカは特に小さな子どもたちに大人気で、全国の幼稚園、保育園、小学校の2019年の運動会や学芸会で使われてきた。パプリカを流せば、「子どもが踊りだす」「子どものテンションが上がる」「赤ちゃんが泣きやむ」などといわれ、2019年を代表するヒット曲のひとつとなっている。Foorinのダンスも楽しめるミュージックビデオは、動画サイトYouTubeで1億5000万回という再生回数を記録している。
身近な事象と景気との関係に詳しい三井住友DSアセットマネジメントの宅森昭吉チーフエコノミストは、キッズソングと景気は関連すると指摘する。
「子ども向けの曲がミリオンセラーを記録すると、景気が良いというジンクスがあります。親の懐具合と直結することも関係があるかもしれません」
宅森氏によると、オリコンのデータがある1960年代後半以降で、これまでにミリオンセラーとなったキッズソングは5作品。『黒ネコのタンゴ』(1969年)、『およげ!たいやきくん』(1975年)、『おどるポンポコリン』(1990年)は、高度成長期やバブル最盛期にあたっている。『だんご3兄弟』(1999年)は、1999年3月の景気の谷から景気拡張局面に入った時期に発売された曲で、『慎吾ママのおはロック』(2000年)も拡張局面での発売だったという。
一方、『パプリカ』のCD売上は、100万枚には到底及ばない。しかし、音楽配信や動画サイトが普及した現在は、昔のようにレコードやCDの売上でヒットを判断できる時代ではなくなっている。こうしたミリオンセラーと肩を並べる存在であればジンクスが当てはまるかもしれない。すでに年末の第61回日本レコード大賞候補となる優秀作品賞10作品に入っており、NHK紅白歌合戦への初出場も決まっている。
「レコード大賞への出演や紅白出場で改めて注目が集まることは多く、それだけでも景気へのプラスの効果はあるかもしれません。もし、もし、レコード大賞を受賞するようなことがあれば、2020年の景気は明るそうです」(宅森氏)
今後の日本景気を占う意味でも、『パプリカ』に注目してみたい。