では「直近高値更新」で株価が上昇するのはなぜか。一般的に株価が大きく下落し、高値で掴んだ投資家が多く残っているような銘柄は、上値を追いにくい。「ここまで上がったら売ろう」と考えている投資家が多いからだ。しかし、過去の高値を更新するということは、そうした「戻り売り」をこなしている証拠。売り圧力がなくなれば、株価が大きく上がりやすくなる。
この傾向は過去のデータからも明らかだ。まず「出来高急増」。「出来高が25営業日の平均と比べて5倍以上に増えた銘柄が、翌日以降、1年以内に株価2倍になった確率」を4市場(東証1部、2部、ジャスダック、マザーズ)で調べてみた。
すると、出来高が急増した銘柄は延べ8万4352銘柄あり、そのうち1万539銘柄が2倍になっている。つまり、直近1か月と比べて出来高が5倍以上になった銘柄のうち、8.0銘柄に1銘柄(12.5%)が2倍になった計算だ。これをジャスダック市場に限定すれば13.6%、マザーズ市場なら29.9%が2倍になっている。
もう一つの「直近高値更新」はどうか。「250営業日の最高値を更新した銘柄が、翌日以降、250営業日以内に株価2倍になった確率」を調べてみたところ、4市場で高値を更新した3万6460銘柄のうち、5084銘柄あった。7.2銘柄に1銘柄(13.9%)が2倍株になっているということだ。さらにジャスダック市場に限定すれば17.8%、マザーズ市場なら33.9%になっている。