今年4月から電力小売り自由化がスタートしたが、新規参入会社に乗り換えるメリットはあるのか。電力会社乗り換えのポイントについて、経済アナリスト・森永卓郎氏が解説する。
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今年4月からの電力小売り自由化を受けて、ガス会社や携帯電話会社をはじめ約300社もの企業が電力小売り事業へ参入しました。では、消費者にとって新規参入会社に乗り換えることは、果たして本当にメリットがあるのでしょうか。
一般的に電気料金は、いわば累進課税のように、使用量が増えるほど単価が高くなる仕組みとなっています。そのため、使用料の少ない家庭では新たに参入した会社に乗り換えても、実はほとんどメリットがないのが実態だと思われます。家族数でいうと2人世帯にあまりメリットはないですが、4人以上の大きな世帯や商売をやっている家庭などは大きなメリットが出てきます。電気代が月10万円を超えるような家庭では、ざっくりいって月に2万~3万円の節約も可能です。
また、新規参入会社の「本業」とセット料金契約を結べば、ガソリン代や携帯電話代が安くなるといったお得なケースもあります。ただし、そうしたケースで要請される「2年縛り」などの契約には注意が必要です。
というのも、4月の熊本地震でも川内原発を止めなかったことで分かるように、政府は原発を再稼働させる方針を改めるつもりはまったくないようです。今後、実際に原発が次々に再稼働していくと、既存電力会社の発電コストが大きく下がる。原発停止によって既存電力会社は料金を3割上げたので、逆に再稼働により3割下げることが可能です。
その時に既存電力会社に戻そうとしても、新規参入会社と2年契約をした家庭は、解約手数料などを取られて思わぬ損をするケースも考えられるので、注意が必要になるでしょう。
※マネーポスト2016年夏号