トランプ米大統領が会見でイランとの更なる対立激化を望まない意向を示唆したことで8日のNYダウが反発したことを受けて、9日の日経平均も大幅反発した。イラン情勢の緊張緩和が好感され、為替相場が1ドル=109円台を回復したことも好感された。東証1部の9割超の銘柄が上昇するなかで、特にハイテク株の上げが目立つ展開となった。
イランとの対立激化が回避されるとともに、15日に米中貿易交渉の第一段階目の合意について両国が署名する予定が報じられ9日のNYダウが続伸したことを好感し、10日の東京市場も堅調なスタートとなった。しかし、通期業績予想を下方修正したファーストリテ<9983>が売られたほか、米12月の雇用統計と13日までの3連休をにらんで買い手控えムードも広がったが、日経平均は前日比110.70円高の23850.57円と続伸した。
今週の日経平均はもみあい商状が想定される。イラン情勢は緊張緩和の方向に転じたことによって2020年1月第1週の日経平均は上昇スタートとなった。ただ、中東の地政学リスクはくすぶっている。ひとたびトラブルが再発すれば「株安」「円高」「原油高」のトリプルデメリットが東京市場を直撃することになる。
また、中国の劉副首相が13日からワシントンを訪れ、15日に米中貿易交渉の第一段階目の合意について両国が署名する予定が報じられているが、その後の展開はまだ不透明だ。翌週の20日にはカナダ・バンクーバーで、中国通信機器大手華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟副会長身柄引き渡し審理が開始される。
このほか、大発会の日経平均の急落では、中東問題のほか、米国の2019年12月のサプライマネジメント協会(ISM)製造業景況感指数が10年ぶりの低水準に落ち込んだことが下げ材料として働いた。日本時間16日夜には米12月小売売上高が発表される。米国の経済指標の発表にも注意が必要だ。中東の地政学リスク、米中貿易協議、米国景気の動向に神経質な展開となることが予想される。
指数インパクトの大きいファーストリテが、今2020年8月期通期営業利益予想を一転して減益見通しへ下方修正し、指数の上値を抑える形にもなっている。ただ、成長期待の大きいハイテク株の押し目を拾う動きが強まっており、日経平均は底堅い動きを強めていることも事実だ。そのハイテク株の象徴的な存在でもあるソニーが物色面でも注目される。2020年の年末商戦に発売を目指すとされる家庭用ゲーム機「プレイステーション5」に続いて、自動運転EVのコンセプトカーを発表したことが関心を集めている。
15日からは東京ビッグサイトで「自動運転EXPO」が17日まで開催されるスケジュールが関連株を刺激しそうだ。このほか、16日は皇居で「歌会始の儀」が行われ来年のお題が注目される。2020年のお題は「望」だった。なお、翌週20日はキング牧師生誕記念日で米市場は休場となることから、週後半は買い手控えムードが強まる可能性がある。
今週の主な国内経済関連スケジュールは、13日は成人の日で東京市場は休場、14日に11月国際収支、12月景気ウォッチャー調査、15日に12月マネーストック、日銀支店長会議で黒田日銀総裁挨拶、地域経済報告(さくらレポート)、16日に11月機械受注、12月国内企業物価指数、17日に11月第三次産業活動指数が予定されている。
一方、米国など海外主要スケジュールは、13日に米12月財政収支、アジア金融フォーラム(香港、14日まで)、14日に米12月消費者物価指数、15日に米12月生産者物価指数、米1月NY連銀製造業景気指数、米地区連銀経済報告(ベージュブック)、16日に米12月小売売上高、米12月輸出入物価指数、米1月フィラデルフィア連銀製造業景況感指数、米11月企業在庫、米1月NAHB住宅市場指数、17日に米12月住宅着工件数、米12月建設許可件数、米12月鉱工業生産・設備稼働率、米1月ミシガン大学消費者マインド指数が予定されている。