大手外食チェーンの価格設定を見て、「この値段で本当に儲けが出るのだろうか?」と不思議に感じることは少なくないが、もちろん、損を出してまで商品を売る店などない。
例えば、焼き鳥チェーンでは、一般的に焼き鳥1本の肉量は30~60グラムで、「材料費を抑えやすい業態」(卸売業者)だという。
モモ肉のネギマは「肉が約40円、ネギが約5円で仕入れ可能。2本セットで原価は100円にも満たない」(同前)。希少部位とされるぼんじり(鶏のテール肉)については、「仕入れ価格はモモ肉よりも安い」(同前)という。かわやレバー、やげん軟骨などは1本あたりの原価が15~25円とさらに安く、収益性の高い商品だ。
ただ、串よりもアルコールが収益の柱となっている。生ビールは中ジョッキ1杯で原価200円ほどと高いが、「あくまで客寄せ。2杯目以降もずっとビールを頼む人はほとんどいない」(大手チェーン関係者)。
2杯目以降に注文が多いハイボールは、1杯あたりの原価が約110円と生ビールのほぼ半分。ウーロンハイは約40円まで抑えられる。
同じ串もので「串カツ」チェーンも人気だが、「衣をつけて揚げるので肉の量は1本あたり25~30グラムと少なくて済む」(業界関係者)という。
1本あたりの原価は牛が約45円、豚が約40円で焼き鳥とさほど変わらないが、メニューに材料費の抑えやすい玉ネギやギンナンなどが多いのが特徴だ。原価が比較的高いのは、魚介類。大ぶりで1尾あたりの原価が約110円のえび(ブラックタイガー)など。
串カツ店もドリンク類で稼ぐ。「店内のポスターやメニューでも、利益率の高いハイボールやサワー類を全面的に打ち出している」(業界紙記者)という。
※週刊ポスト2020年1月31日号