海外リートに投資する投資信託(投信)が好調だ。上位3本の純資産残高はいずれも1兆円を突破している。しかし今後円高が進めば、減配や基準価額の下落は避けられない。リスクを減らすにはどのような投資戦略を持つべきか、楽天証券経済研究所ファンドアナリストの篠田尚子氏が解説する。
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今後どんな投信を購入していけばいいのかは、難しい問題だ。円高が進行中で、新興国を含め株式相場も軟調、さらに世界的な低金利となると、適切な投資対象を見つけるのは容易ではない。
その点、昨年から登場している、信託報酬を引き下げたローコストのインデックスファンドへの投資は有力である。すでに保有している人であれば、“ナンピン買い”をして、保有コストを下げるという手もあるだろう。だが、ここでは新しい選択肢として、「中小型株ファンド」および「新興市場株ファンド」を紹介したい。
中小型株にはいろいろな定義があり、おおよそ時価総額1000億円未満を小型株、1000億円以上3000億円未満を中型株とするケースが多いようだ。また、新興市場株は、ジャスダックや東証マザーズなどに上場している銘柄を指す。中小型株ファンド、新興市場株ファンドとも、株式指数(インデックス)をひとつの目安として、それを上回る運用成果を狙う「アクティブファンド」である。
インデックス型とアクティブ型はどちらが優れているかという論争があるが、相場が不安定になっている状況では、アクティブ型のほうが強みを発揮しやすいと言える。為替が円高になれば、円高でデメリットを受ける銘柄を外し、メリットを受ける銘柄を組み入れることができる。インデックス型では、ファンドが勝手に銘柄を変更することはできない。足元のように、為替相場の動きが激しい状況では、どうしても指数や、そこに組み入れられている大型株は乱高下しやすくなる。
実際、今年に入ってから、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)、大型株は振るわないが、中小型株や新興市場株には健闘している銘柄が少なくない。そうした銘柄に選別投資をして、好パフォーマンスを記録しているファンドがいくつもある。
※マネーポスト2016年夏号