新型肺炎について、世界保健機関(WHO)が緊急事態を宣言したことから30日の米国市場は軟調に始まったものの、主要企業の決算発表への期待からNYダウは大引けにかけて上昇に転じた。31日の日経平均もNYダウの3日続伸と為替相場の落ち着きを好感して反発した。取引開始前に発表された12月鉱工業生産(速報)が市場予想を上回ったことも安心感につながった。後場は模様眺めムードが広がり、狭いレンジでの値動きとなった。個別では、通期業績予想を増額した富士通<6702>の上げが目立った。大引けの日経平均は227.43円高の23205.18円となり、月間ベースでは5か月ぶりのマイナスに転じた。このほか、ジャスダック平均は7日ぶり、マザーズ指数は8日ぶりにそれぞれ反発した。
今週の日経平均は、自律反発を窺う場面を交えつつも上値は重い展開となりそうだ。世界保健機関(WHO)による緊急事態宣言を受けて各国の対策が進展し、新型肺炎の収束期待が浮上する形となって週末の東京市場は買い戻しが先行した。パニック的な売りは縮小する可能性があるものの、新型肺炎の拡大による経済的な影響は未知数だ。
そのため、2月5日の米1月ISM非製造業景況指数、7日の中国1月貿易収支といった米中経済指標の発表には警戒感も漂うことになりそうだ。米1月雇用統計については東京市場の大引け後の7日夜の発表となるため、週末に向けては手控えムードが強まる可能性もある。
スケジュール的には、3日に春節(旧正月)明けの取引が中国・上海市場で再開され、その落ち着きどころが焦点となる。また、4日のトランプ米大統領の一般教書演説も注目される。事前予想は難しいが、大統領選に向けてトランプ流のサプライズ発言があれば、相場ムードを一時的に好転させる期待もある。
物色的には企業決算が本格化しており、引き続き業績相場に一喜一憂する展開が継続しそうだ。今期業績予想を上方修正した富士通やアンリツ<6754>などは素直に上昇しており、決算発表を手掛かりとした物色展開が中心となってくることが見込まれる。
主要企業の決算発表日として、3日にパナソニック<6752>、村田製作所<6981>、4日にソニー<6758>、三井物産<8031>、5日に三菱商事<8058>、Zホールディングス<4689>、6日にトヨタ<7203>、NTT<9432>、7日にホンダ<7267>、三井不動産<8801>が予定されており、7日がおよそ500社の発表ピークとなる。
なお、ソフトバンクグループ<9984>は12日に決算発表予定だ。なかで、村田製作所とソニーの決算発表が注目される。このほか、7日は今年の第1号IPOが登場する。新興市場は厳しい展開が続いているが、IPOの再開で個別物色が局地的に復活してくる期待がある。
今週の主な国内経済関連スケジュールは、3日に1月自動車販売台数、7日に12月毎月勤労統計調査、12月家計調査、12月景気動向指数、今年の第1号IPO銘柄としてジモティー<7082>がマザーズに、コーユーレンティア<7081>がジャスダックに新規上場する予定となっている。
一方、米国など海外主要スケジュールでは、3日に春節明けで中国株式市場の取引再開、米12月建設支出、米1月ISM製造業景況指数、4日に米12月製造業受注、トランプ米大統領の一般教書演説(上下両院合同会議)、5日に米1月ADP雇用統計、米12月貿易収支、米1月ISM非製造業景況指数、7日に中国1月貿易収支、米1月雇用統計、米12月消費者信用残高がそれぞれ予定されている。