為替相場が1ドル=110円台突入に迫る円安基調も追い風となり、上げ幅は一時600円を超え、大引けは前日比554.03円高の23873.59円となった。また、後場の取引時間中に発表されたトヨタ自<7203>の第3四半期決算で、通期の利益見通しが上方修正されたことがサプライズとなり、株価は2015年8月以来となる8000円台を一時回復したことが注目された。
中国政府が14日より米国からの輸入品750億ドル相当に対する関税を半減させることを発表し、新型肺炎を巡る懸念が一服したこともあり、6日のNYダウは4日続伸、ナスダック総合指数やS&P500指数とともに過去最高値を更新した。
これを受けて7日の日経平均は堅調に始まったものの、米1月の雇用統計の発表と週末を控えていることもあって利益確定の売りが先行して4日ぶりに反落に転じた。個別では、米アクティビスト(物言う株主)ファンドの株式保有が伝わったソフトバンクG<9984>が、売買代金トップとにぎわい、株価も急伸したことが話題となった。大引けの日経平均は、前日比45.61円安の23827.98円で大引けた。
今週の日経平均は、様子見ムードを抱えてもみあう展開が予想される。
2月第1週の日経平均はNYダウ、ナスダック指数、S&P500指数が史上最高値を更新する上昇に刺激される形で大幅反発を見た。しかし、今年最大の上げ幅を記録した6日に日経平均は心理的な節目となる24000円にあと4.63円と迫りながら打ち返されている。一段のNYダウの上昇や1ドル=110円台への円安進行といった外部要因で上昇持続の期待は残るものの、上値を追うには材料不足の感が否めない。
新型コロナウイルスの影響も引き続き懸念される。7日現在、中国ではおよそ34都市が封鎖や移動規制が実施されている。当初は11日から13日あたりまでとされてきた封鎖や規制(企業活動)が延長されることになると、経済への影響が再度、警戒される。トヨタは中国工場の稼働再開を17日以降に再延期している。また、今週は10日に中国1月生産者物価指数と中国1月消費者物価指数、14日の東京市場の大引け後に判明する米1月小売売上高と、新型肺炎の影響が経済指標面で表れてくるかを注視する必要がある。
カレンダー的にも11日の祝日をはさみ、翌週17日はワシントン誕生日で米国市場は3連休となることから、週末にかけては積極的な買いは呼び込みにくい展開となる。ただ、新型コロナウイルスの感染者が日本国内で確認されたのは1月15日であり、今週でほぼ1カ月となる。日経平均23000円ラインに接近すると、押し目買いも強まることが確認出来ており、過度な下値不安も薄まっている。
このほか、新型肺炎による影響を織り込んでいないとはいえ、4日のソニー<6758>に続いて6日はトヨタ自<7203>が今期の利益計画を上方修正した。全般の企業業績はまだら模様ながらも明るい部分が出ていることも確かだ。
こうした中、決算発表は今週で一巡する。10日は東レ<3402>、三菱地所<8802>、12日はソフトバンクG<9984>、ルネサス<6723>、13日は楽天<4755>、日産自<7201>、JDI<6740>、14日はリクルートHD<6098>、東芝<6502>、日本郵政<6178>が決算発表を予定している。5G(第5世代移動通信システム)事業の本格化を控えたソフトバンクグループと楽天の動向に関心が高まることが見込まれる。
今週の主な国内経済関連スケジュールは、10日に1月景気ウォッチャー調査、12月国際収支、11日は建国記念の日で東京市場休場、12日に1月マネーストック、1月工作機械受注、13日に1月国内企業物価指数、14日に12月第三次産業活動指数、オプションSQがそれぞれ予定されている。
一方、米国など海外主要スケジュールでは、10日に中国1月生産者物価指数、中国1月消費者物価指数、11日にパウエルFRB議長が米下院金融サービス委員会で議会証言、13日に米1月消費者物価指数、14日に米1月小売売上高、米1月輸出入物価指数、米1月鉱工業生産・設備稼働率、米12月企業在庫、米2月ミシガン大学消費者マインド指数が予定されている。