次に、QFII(海外適格機関投資家)制度についてであるが、これは、“中国証券監督管理委員会から認可を得た機関投資家が、認可枠の範囲内で、調達した人民元で以て、中国の株式、債券などを購入することができる”制度である。ちなみに、QFII制度は同様のドル建て投資である。
このことは、海外機関投資家にとって、単にA株を購入できる枠が増えるだけではない。RQFIIがA株、中国債券などの運用ファンドを販売(通貨はオフショア人民元)することで、オフショア人民元の運用に厚みが出てくる。
2500億元という枠は、香港の2700億元に次ぐ規模である。ゴールドマンサックス、シティバンク、モルガンスタンレーなどの大手金融機関は香港に金融子会社を持っており、既にRQFII資格を取得済みであるが、今回2500億元の枠がアメリカに与えられることで、アメリカのヘッジファンドなどが参入する可能性がある。
現在、香港のほか、イギリス、シンガポール、オーストラリア、ドイツ、フランス、スイス、韓国などがRQFII枠を取得しているが、アメリカが多額の枠を得たことで今後、人民元の国際化が更に加速しそうである。
経済金融面において、米中は決して冷戦状態に陥っているわけではない。
文■TS・チャイナ・リサーチ 田代尚機