26日の米国市場はNYダウが123.77ドル安と5日続落となる一方、ナスダック指数は5日ぶりに反発とまちまちの展開となった。27日の東京市場は連日の下落を受けた自律反発狙いの買いもみられたものの、米国での感染者拡大や日本国内でも各種イベントが相次いで中止・延期になったことで、投資家のリスクオフ姿勢が強まった。海外短期筋による指数先物への断続的な売りが散見され、日経平均は2019年10月11日以来、約4カ月半ぶりに終値で22000円割れとなった。
米カリフォルニア州で新型コロナウイルスの感染者が確認され、世界経済への影響懸念が一段と強まる中、原油相場の下落や米長期金利の低下も重なり27日のNYダウは1190.95ドル安の25766.64ドルと6日続落し、1日の下げ幅はS&P500指数とともに過去最大となった。株安に連れたリスク回避の円買い、早期の利下げ観測に伴うドル売りから為替も1ドル=109円台前半への円高に振れたことも警戒されて、28日の日経平均株価は前日比430.22円安で寄り付き、その後アジア市場の軒並み安を受けて下げ幅を広げた。一時1031.83円安となるなか、取引時間中では2019年9月5日以来の21000円割れをみた。大引けは前日比805.27円安の21142.96円と21000円を維持した。
今週の日経平均は、心理的なフシ目となる21000円の攻防に視点が移る。2月28日に昨年10月4日安値21276.01円を割り込んだことで21000円ラインまで一気に調整を進めることとなった。21000円ラインを下に突き抜けてくると、最悪は昨年8月6日安値の20110.76円まで下落する懸念が強まってくる。
日経平均は200日移動平均線および昨年8月6日安値20110.76円から今年1月17日高値24115.95円までの上げ幅の半値押しを割り込むとともに、新値三本足も陰転と、テクニカル面ではダウンリスクが膨らんでいる。さらに、相場の下支え材料として働いていた為替が、1ドル=108円台までの円高傾向に反転していることも気掛かり材料だ。
その一方で、日経平均は28日までの5日続落での下げ幅は2300円超となり、さらにNYダウの下げ幅も27日までの6日続落で3581ドル超に達している。25日騰落レシオも27日に59.3%と数年に一度のボトム値を示しており、短期的なリバウンドが生じやすいタイミングとなっていることも確かだ。
3月相場入りとなるここからは、日米中の経済指標、個別企業の月次売上高の開示情報で、新型コロナウイルスによる影響がどの程度出てくるかも焦点だ。3日のファーストリテイリング<9983>による2月の国内ユニクロ売上推移速報、4日の米2月ADP雇用統計、米2月ISM非製造業景況指数などの内容次第で、相場は上下に振られやすい展開となってくる。
6日の米2月雇用統計(発表は日本時間6日22時30分)、7日の中国1月・2月貿易収支などは、6日の東京市場の大引け後の発表となるため、日経平均への影響は翌週となるが、その内容次第では波乱要因となってくる。全体相場は新型コロナウイルスのニュースフローと米国株動向に強く影響を受ける相場展開が続きそうだ。3月13日はメジャーSQも控えており、ここから2週間が相場展開的にも神経質な時期となることが予想される。
今週の主な国内経済関連スケジュールは、2日に10-12月期法人企業統計、2月自動車販売台数、3日に2月マネタリーベース、2月消費動向調査、6日に1月家計調査、1月景気動向指数が予定されている。
一方、米国など海外主要スケジュールでは、2日に米2月ISM製造業景況指数、米1月建設支出、3日に米スーパーチューズデー、4日に米2月ADP雇用統計、米2月ISM非製造業景況指数、ベージュブック(米地区連銀景況報告)、5日に米1月製造業受注、OPEC臨時総会(ウィーン)、6日に米1月貿易収支、米2月雇用統計、米1月消費者信用残高、7日に中国1月・2月貿易収支が予定されている。